失敗にはたくさんの学びが含まれています。
ですから、若いときはたくさん失敗をしろという趣旨の発言をする人も多いです。
何を失敗と捉えるかは人それぞれですが、本来「失敗などせずに、自身の目指すところに最短で行きつける方が良い」に決まっています。
なぜなら、失敗というのは、誰にとってもツライものだからです。
確かに、体力や精神力の強さ、又は失敗への慣れ等によって、失敗に対する耐性が高い人はいます。
ですが、自ら進んで失敗を目指す人はいないでしょうし、もしそのような人がいるとしても、それは「失敗の先にある成功」を目指しているということでしょう。
そんなわけで、失敗などしない方が良いに決まっているということになるわけです。
ですが、これは「何もチャレンジをするな」ということを言いたいわけではありません。
そもそも、全く失敗をしない人というのも問題です。
なぜなら、全く失敗をしないということは、全く新たなチャレンジをしていないということに他ならないからです。
新たなチャレンジをしなくなりますと、現状維持しているように見えるかもしれません。
ですが、人間は何もしていなくても年を重ねていきますので、何もチャレンジをしなくなれば、現状維持もできなくなります。
ですから、常にチャレンジは必要なのです。
では、どのようにチャレンジをしていけばよいのか。
それは、できるだけ「スモールステップ」を踏んで、細かくチャレンジをしていくという方法です。
例えば、不動産業での独立を考えている次の2人がいるとします。
①地場の不動産会社で営業職をしながら、独立を考えている人。宅建士資格あり。貯金は300万円。
②不動産業は全く未経験だが、経営者になりたいと思っている一流企業のサラリーマン。不動産業は独立しやすいと聞いたので、不動産業での独立を考えている。宅建士資格なし。貯金2,000万円。
不動産業で起業するにあたり、①の人と、②の人はどちらが、スモールステップでの開業になるでしょうか。
答えは、①の人です。
②の人は、貯金はありますが、不動産業界は未経験ですし、宅建士資格も持っていません。
つまり、②の人が不動産業で起業をしようとした場合、宅建士資格を持っている人を雇わなければならないということになるわけです。
仕事の実務も良く分からない上に、初めから人を雇用しなければならないという状況では、2,000万円という資金もすぐに底をついてしまうでしょう。
いきなり独立をして、数年で会社をつぶしてしまっては、②の人は「大失敗」ということになってしまいます。
一方で、①の人はどうでしょうか。
貯金は300万円ですので、決して潤沢な資金というわけではありません。
ですが、業界経験者ですし、宅建士資格も持っている。
独立に向けて集客に磨きをかけ、人脈も強化しておけば、初月から黒字化させていくのは難しくないかもしれません。
そして、万が一経営がうまくいかなかったとしても、不動産業界であれば再度どこかの会社に雇用してもらうことは可能でしょう。
確かに経営者としてはうまくいかなかったかもしれませんが、このチャレンジを糧に、また頑張れば良いという考えにも到達しやすいのではないでしょうか。
上記のような考え方が、まずできます。
そして、更に①の人と、②の人がどのようにすれば、不動産業の開業をよりスモールステップ化できるのかについて考えていきます。
①の人については、例えば開業を今から2年後に設定したとします。
その間に、もう少し資金を潤沢にする方法が考えられます。
例えば月8万円ずつ貯金をしていき、資金を500万円にする。
自己資金が500万円あれば、創業融資を受けて、更に潤沢な資金で開業することが可能になります。
そして、開業後には、サイトを作成していくでしょうから、サイト用のコンテンツも2年後に向けて今のうちから作成していきます。
インターネットマーケティングも効果が出るまでに時間がかかりますので、開業の2年前から始めるくらいでちょうど良いでしょう。
また、開業にあたり、知識面で弱いところがあれば勉強することや、より広い人脈を獲得するために行動する等、やれることはたくさんあります。
独立開業を目指し、やれることを全てやっていけば、相当な力がつくはずです。
結果として、開業後の成功率も高まりますし、万が一失敗したとしても「今まで培った力」がありますので、再起は十分に可能になるはずです。
そして、②の人も、①の人と同様に、開業を今から2年後に設定するとします。
まずスモールステップを成功させる条件として、現在の(不動産業界とは関係がない)本業は「辞めない」ことです。
いきなり本業を辞めて不動産業界に就職をするという考えもありますが、それでは少しステップが大きいと思います。
なお、この人は既に潤沢な資金がありますので、不動産業開業にあたり、資金についてはあまり意識する必要はないでしょう。
この人がまずやるべきことは「宅建士資格の取得」です。
自分で宅建士資格を取得できれば、創業当初から宅建士を雇用する必要がなくなりますので、年間で約500万円前後のコストが削減できるはずです。
ですから、まずはとにかく宅建士試験の勉強に全てのプライベートタイムを集中させ、一発合格すべきです。
そして、宅建士試験の合格後は、週末のアルバイトでも何でもいいので、不動産会社に潜り込みましょう。
おそらく週末のアルバイトに営業職などないでしょうから、営業の補助でも、物件の写真撮影でも何でも良いです。
選ぶ会社は、できるだけ規模の小さな不動産仲介の会社が良いでしょう。
アルバイトをしながら、不動産会社の雰囲気を感じ取っていきましょう。
そして、アルバイトの合間や終わった後に少し残って、無給の状態で仕事を手伝いましょう。
これにより、できるだけ多くの仕事を経験することができます。
なお、仕事を手伝う際は、できるだけ集客や営業に近い仕事の手伝いをさせてもらえるように狙っていくとより効果的です。
このように2年間を過ごします。
②の方も、全くの未経験のままいきなり開業するよりも格段に成功率が上がっているはずです。
ここまでやっておけば、万が一、独立に失敗したとしても不動産業界での再就職は可能でしょう。
なお、②の方については、いきなり開業とするよりも、不動産会社での週末バイトを経験した上で、まだ不動産業を開業したいという気持ちが続くのであれば、本業の仕事を辞めて、開業前にいちど不動産会社に就職し、営業の仕事を経験するのも良いと思います。
