宅建免許申請における「事務所」について

不動産事業に限らず、ビジネスを始めるにあたり、事務所はとても重要です。

特に不動産業の場合、事務所はビジネス面のみならず、宅建免許を受けるという面でも重要ポイントとなっています。

今回は、宅建免許を受けるための事務所の要件について説明します。

宅建免許申請で事務所について考えるとき、特に重要なポイントは次のとおりです。

①事務所の所在地によって免許権者が変わる。
②専任の宅地建物取引士の設置が義務付けられる。
③事務所の数に応じて弁済業務保証金分担金等の額が変動する。

なお、宅建業法において事務所とは「本店、支店その他の政令で定めるものをいう」と規定されており、政令では事務所と定めているのは次のとおりです。

①本店又は支店
本店又は支店とは、履歴事項全部証明書に登記されたものをいいます。
なお、支店というためには、少なくとも「本店と同一商人であること」「支店自体が営業所として独立して営業活動ができること」「本店に経済上従属していること」が必要になります。
また、本店で宅建業を営んでいなかったとしても、支店で宅建業を営むと、本店も宅建業上の「事務所」となります。
一方で、支店の登記がされていたとしても、その支店において宅建業を行わない場合、及び継続的に宅建業者の営業の拠点となる施設としての実態を備えていない場合は、宅建業の事務所としては取り扱いません。

②①のほか「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所」で、宅建業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの
この場合、例えば「〇〇営業所、〇〇事務所」のように「支店」という名称を使用していなかったとしても、実態上は支店に類似しているものとなり、事務所として扱われます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

事務所の形態について

事務所の形態に関するポイントは、次のとおりです。

①業務を継続的に行える機能を持っていること。
②事務所として認識される程度の独立した機能を備えていること。

上記のようなポイントがありますので、テント張りやホテルの一室等では事務所として認められません。
また、一般の戸建住宅、マンション等の集合住宅の一室を事務所として使用することや、一つの事務所を他の法人等と使用すること等についても、認められない可能性があります。
なお、マンションの一室を事務所として使用する場合には、管理規約等により事務所の使用が認められることや商号の掲出ができることが必要になります(マンションの一室を事務所として使用したい場合には、事前に免許権者へ確認をすべきです)。
また、レンタスオフィスを事務所として使用したい場合にも注意が必要です。
具体的には、専用の個室があり、顧客との応接場所を確保できること等があげられます(レンタルオフィスを事務所として使用したい場合には、事前に免許権者へ確認をすべきです)。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

目次