公図を見る際の注意事項について

不動産調査における主な書類のうち公図を見る際の注意点について説明していきます。

①分類欄で請求した公図が「地図(法14条地図)」か「地図に準ずる図面」の別を確認する。
「地図」である場合、その図面の精度は高く、調査書類としての信頼性が高まります。
「地図に準ずる図面」である場合、信頼性については、少し疑ってかかるべきです。
ただし、地図に準ずる図面であっても、公図に記載されている各土地が綺麗に区画されていれば、問題となることは少ないでしょう。

②公図と住宅地図の内容を見比べてみる。
公図と住宅地図を見比べる作業により、両図面の相違が発見できるときがあります。
両図面に相違がある場合は、調査時に注意すべき事項として、調査記録にあらかじめ記載をしておきます(単に公図の誤りなのか、工作物が越境して築造されているのか等の問題が考えられます)。

③公図が現況とかけ離れている場合があります(公図混乱地域等)。
このような場合、公図は全く使いものになりません。
公図が混乱しているような場合でも、市役所の税務課等で「所在図」等を作成している可能性がありますので探してみましょう。
なお、所在図とは、混乱した公図を現況にあわせて役所で作成し直したような書類です。
この資料も必ずしも正しい情報であるとは限りませんので、あくまでも参考書類として使用し、信用しすぎないようにします。

④調査対象物件の接面道路が「私道」のときは、公道に接続するまでの公図を取得する。
接面道路が私道の場合、取引にあたり「通行掘削承諾」を取得する可能性があるため、あらかじめ公図を取得して確認しておきます。

⑤調査対象物件と前面道路が接しているかを確認します。
接しているとは「ぴたっとくっついている」ということです。
対象物件と道路との間に「不自然な細い土地」等がないことを確認します。
この土地が第三者(私人)所有だったりすると「建物を建築する際の接道要件を満たしていない土地」となる問題が考えられ、調査の内容に大きな影響を及ぼします。
なお、調査前の段階で「対象物件は、接道要件を満たさず、再建築不可となる可能性のある物件」という情報をあらかじめ得ていない場合は、再建築不可である可能性を発見した時点で、売主や買主に確認の連絡を入れた方が良いでしょう。
再建築不可(可能性であっても)であれば、そもそも買わない(買えない)という買主がいた場合に調査自体がムダになることが考えられるためです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

目次