写真の撮影方法について

不動産物件調査における写真の撮影方法について説明していきます。

写真の撮影方法と言っても、特別なやり方があるわけではありません。

なお、デジカメですが、不動産の物件調査に使用しますので、ときどき落としたり、ぶつけたりしますので高価なものである必要はありません。

まずは、写真撮影の順番から説明していきます。
現地調査でもあらかじめ自分で順番を決めておき、その順番に沿って調査を行うことで調査モレを減らせる旨の説明をしましたが、写真撮影でも同じことがいえますので、あらかじめ撮影の順番を決めておきます。

あくまでも参考ですが、写真撮影の順番は次のとおりです。

・対象物件の全景を撮影する。
・接面道路を撮影する。
・境界標を撮影する。
・敷地内を撮影する。
・桝の内部を撮影する。
・建物の設備及びメーター類を撮影する。
・基礎の換気口を撮影する。
・越境物を撮影する。
・その他、気になる部分を撮影する。

・対象物件の全景を撮影する
まずは、対象物件の全体のイメージをしっかりとつかむために、物件の全景を撮影します。
接面道路側から、建物全体が写るようにして撮影をします。
さらに別角度で撮影できる場所に移動して、もう1パターン撮影します。
合計で2パターンくらい撮影しておけば良いでしょう。

・接面道路を撮影する
次は接面道路を撮影していきます。
不動産はとにかく「道路」が大事なので、しっかりと撮影していきます。
道路にマンホール等があれば、そのつど撮影していくと良いでしょう。

・境界標を撮影する
①境界標の撮影の順番ですが、撮影する最初の境界標を決めてから、その境界標を起点として右回りか、左回りに撮影していくようにします。
調査をするたびに変えるようだと撮影モレを起こすリスクが高くなりますので、右回り、左回りについては、自分の中でルール化しておきましょう。

②境界標の撮影ですが、一つの境界標につき、4枚撮影します。
撮影する写真は次のとおりです。

(1)2m程度離れた位置から、境界標を撮影する(遠景写真)。
遠すぎて写真の中で境界標の位置が分からなくなる場合は、目印を置いても良いです(ピンポールのようなものが一つあると便利です)。
少し離れた位置から撮影することにより境界標の正確な位置や境界標の周囲の工作物等の状況、越境物等の確認をすることができます。

(2)(1)からまっすぐ境界標に近づき、1m程度まで近づいたら、2枚目を撮影する(中景写真)。
ちょうど境界標の斜め上あたりから、境界標の周辺の地面が写るように撮影します。
ここまで近づいても、写真内でまだ境界標の位置が分かりにくい場合は、遠景写真と同様の目印を置きます。

(3)境界標(境界点)の真上(真正面)から撮影する。
境界標に対して角度を付けずに撮影を行います。
例えば、コンクリート杭が地面に刺さっているような場合に、その真上から撮影を行うようなイメージです。
境界標の周囲の工作物等も写りこませるのがポイントです。

(4)境界標を接写する。
最後は境界標をアップで撮影します。

・敷地内を撮影する
敷地内の撮影は、境界線沿いを「時計回り」で一周した後に「反時計回り」で一周します(その逆でも構いません。自分でルール化しましょう)。
撮影は、境界標と同じ場所を起点とし、同じ向きで撮影していく方が分かりやすくなります。
30坪程度の土地の広さの場合、境界線一辺に付き3枚程度ずつ撮影すると、ちょうど良い枚数になると思います(合計24枚)。

・桝の内部を撮影する
桝の写真は、境界標のときに説明した撮影方法の中から「中景写真→アップ」の2枚1セットで撮影してきます。
アップでは、桝の内部までしっかりと写るように撮影します。
ただし、写真をアップにし過ぎると、後で写真を見返したときに、どの桝の写真なのかが分からなくなりますので「桝の内部が鮮明に写る位置まで近づきつつも、桝の周囲の地面も少し写り込ませる感じ」で撮影をするのがポイントです。

・建物の設備及びメーター類を撮影する
電気、ガス、水道等のメーターを撮影していきます。
電気メーターは「単二、単三」が判別できるように撮影します。
ガスメーターは「LPG、都市」が判別できるように撮影します。
水道メーターは「メーター番号、口径」が判別できるように撮影します。

・越境物を撮影する
越境物は、できるだけ越境の状況が分かるように撮影しましょう。
越境物の状況しだいでは、撮影はかなり難しくなります。

・基礎の換気口を撮影する
比較的新しい建物では、撮影できるような基礎の換気口はありませんが、基礎の換気口がある場合は、デジカメを近づけて内部を撮影していきます。
これをすると、ときどき蟻道等が写り込むことがあります。

・その他、気になる部分を撮影する
その他の気になる部分とは、例えば次のようなものを指します。
・建物や境界工作物の破損や劣化している部分
・井戸
・浄化槽
・蟻害のある箇所等

写真撮影をもって、対象物件の撮影は終了となりますが、対象物件以外にも、周辺環境として次の場所を撮影しておきます。
・調査対象物件の目の前に電柱がある場合は、その電柱番号等。
・ガスメーターを撮影したときに集中プロパンであることが判明した場合には、集中プロパン庫を探して撮影(会社の連絡先が記されている部分も撮影)。
・送電線鉄塔(概ね100m以内にある場合)。
・その他、周辺に特徴的なものがあれば撮影をする。

以上で、写真撮影は終了です。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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