レンタルオフィスでの不動産会社設立は可能か

立地の良さや、価格の安さから、レンタルオフィスで不動産業(宅建業)を開業したいという人も多いです。

不動産業を開業するためには、宅建免許を取得する必要があり、宅建免許申請には事務所に関する要件があります。
つまり、宅建免許申請でレンタルオフィスが認められるのかが最大のポイントということになります。

まず、結論から申し上げますと、レンタルオフィスでも宅建免許を受けることができます。
ただし、バーチャルオフィスやシェアオフィスでは、宅建免許を受けることはできません。

ただし、レンタルオフィスで宅建免許を取得できるとは言っても、通常の店舗や事務所と比べると、審査が厳しくなります。
また、その審査の基準も変わることがありますので、その点についても注意を要します。
つまり、過去に宅建免許を受けられたレンタルオフィスでも免許が受けられなくなったりすることがあるということです。

したがって、「不動産会社が事務所を構えている」とか、「過去に宅建免許を取得している」などという理由から、宅建免許を取得できるものと思い込み、安易にレンタルオフィスの契約をしてしまうのはやめましょう。

また、レンタルオフィスのスタッフも「このレンタルオフィスには不動産会社さんもいますので、問題ないと思います。」などと言ったりするかもしれません。
ただし、レンタルオフィスのスタッフの言う「不動産会社もいる」という事実に間違いはないのかもしれません。
ですが、レンタルオフィスのスタッフは宅建免許申請に詳しいわけではありませんし、もっと言えば不動産業に詳しいわけではありません。
したがって、もしかするとそのスタッフが言っている不動産会社というのは、宅建免許を要しない「不動産コンサルティング業」のような業態かもしれないということです。
また、かつてはそのレンタルオフィスでも宅建免許の取得ができたのかもしれませんが、現在はできないということもあり得ます。

いずれにしても、レンタスオフィスで不動産業を開業したい場合は、宅建免許を取得できる事務所なのか否かを確認してから契約しなければいけません。

なお、レンタルオフィスで宅建免許を受けるためのポイントは次のとおりです。

①完全個室であり、かつ、いつでも自社のみで使用できること。
②接客ができる十分なスペースがあること。
③長期で使用ができること。
④他の会社等のオフィスを横切ることにならないこと。
⑤レンタルオフィスから不動産業開業に関する承諾書をもらえること。

①完全個室であり、かつ、いつでも自社のみで使用できること
まず条件として完全個室である必要があります。
また、レンタスオフィスの中には、時間によって使用者が変わる契約条件になっているものもありますが、これでは宅建免許は取得できません。
事務所は24時間365日自社のみで使用できる必要があります。

②接客ができる十分なスペースがあること
不動産業の事務所には、「接客ができるスペース」が必要になります。
したがって、自分の机一つ置いただけでいっぱいになってしまうようなスペースでは認められません。
申請に関しては、実際に接客用のスペースを設ける必要がありますので、ある程度の広さ(約10㎡程度以上)は必要になると思います。
また、スペースも何人で不動産業を始めるかによって異なりますので、広さについても良く検討する必要があります。
なお、「そもそも契約者以外の人が入れない」というレンタスオフィスもありますので、この点についても注意が必要です。

③長期で使用ができること
レンタルオフィスは、そもそも短期間でサクッとビジネスをしたいというニーズで生まれたビジネスです。
そのため、長期で使用するという考えが希薄であり、契約期間も1か月単位だというところもあります。
不動産業の事務所は「継続的に業務を行うことができる施設」である必要があり、「短期間でサクッと」というわけにはいきません。
したがって、レンタルオフィスでも長期の契約(最低でも半年。できれば1年以上が望ましい)ができるところでないと免許を取得するのは難しいです。

④他の会社等のオフィスを横切ることにならないこと
不動産業のオフィスの要件の中に「他の法人等の事務所を通らずに申請者の事務所に行ける」というものがあります。
レンタルオフィスの中には、共有通路部分にフリースペースを設けているところがあります。
このフリースペースが他の法人等の事務所を通過しているという判断をされ、免許の取得ができない場合があります。

⑤レンタルオフィスから不動産業開業に関する承諾書をもらえること
上記で述べてきたように、レンタスオフィスにはいろいろな注意点がありますが、そもそも検討中のレンタルオフィスが不動産業の開業ができないところだとアウトです。
また、宅建免許申請時の添付書類にレンタルオフィスから承諾を求めなければならない書類が複数ありますが、それらの書類を承諾してもらえることが必要です。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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