都市計画施設がある場合の調査について

都市計画施設には公園、緑地、河川などさまざまなものがありますが、通常の不動産調査で登場するのは「都市計画道路」ですので、今回は、都市計画道路に限定して説明をしていきます。

都市計画道路は、「近隣にある場合」と「調査対象物件の敷地にかかっている場合」の両方のパターンがあり、それぞれのパターンで調査の方法が異なります。

まず、都市計画道路の場所ですが都市計画図を見て確認します。

①近隣に都市計画道路がある場合
都市計画図を見て調査対象物件の近隣(おおむね200m以内)に都市計画道路がある場合は、役所の窓口で、次の項目を確認します。

・路線番号、名称
・計画決定の日付
・事業決定の日付
・工事の予定(着工予定日、完工予定日等)
・代表幅員及び物件付近の幅員等

調査対象物件の近隣に都市計画道路がある場合、「道路が完成した際には、交通量が増し、騒音、振動等の住環境の悪化を招く可能性がある」ということを説明したいわけです。

したがって、調査対象物件の近隣の都市計画道路が未完成の場合でも、近隣の工事が既に完了しており、車も通行しているような状態であれば、今後調査対象物件の環境に悪影響を与えるようなことはなさそうですので、それ以上の調査はしなくても良いということになります。

②調査対象物件に都市計画道路がかかっている場合
調査対象物件に都市計画道路がかかっている場合は、次の点に注意をしながら調査を進めていく必要があります。

・公有地拡大推進法(公拡法)の届出は必要か。
・建築の制限がある場合はその制限の内容。

公拡法の届出については、多くの行政で200㎡以上の地積を要する場合に必要となります。
100㎡で届出を要する行政もありますので、200㎡だと思い込みで調査をせずに、毎回しっかりと確認を行いましょう。建築の制限についても同様です。

なお、取引の対象物が敷地権付きの区分所有建物(マンション)であり、その土地に都市格道路がかかっている場合は、公拡法の届出は不要となります。

公有地拡大推進法は「公有地の拡大」を目的としており、マンションの土地の「持分の取得」では、公有地の拡大という目的は達成できないためです。
制度の目的を知っておけば忘れにくいですよね。

③「公拡法の届出」と土地の「売買契約」について

公拡法の届出が必要な場合に気を付けなければならないのは、「公拡法の届出」と土地の「売買契約」の関係です。
公拡法の届出は「土地を譲渡しようとする3週間前までに」する必要があるため、届出前に調査対象物件の契約をしてしまうと法令違反となります。

そのような場合でも、買取り協議が不成立となった場合に有償譲渡が有効となるように「停止条件を付した売買契約」であれば、買取り協議の不成立が成就したときからその効力を生じる契約となりますので可能です。
ただし、この場合でも「停止条件付の契約なら可能」だと思い込みで調査をすることなく、毎回必ず確認をするようにしてください。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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