越境がある場合の対処方法について

調査対象物件に越境がある場合の対処方法について説明していきます。

ここでいう越境とは、調査対象物件の土地の所有物が隣接地等に越境している場合、又はその逆(隣接地等の所有物が、調査対象物件に越境している場合)のことです。

代表的な越境は次のようなものがあります。

・境界工作物(コンクリートブロック塀等)
・土留め(擁壁等)
・引込線(電気・電話・インターネット回線等)
・引込管(上水道・下水道・ガス等)
・建物、カーポート、物置等
・設備(エアコンの室外機等)
・動産物(プランター)や樹木の枝葉

調査対象物件に越境物がある場合の対処方法は次のとおりです。

①解消する(被越境の場合は、解消してもらう)。
②将来、その越境物を作り直す際に解消する(被越境の場合は、解消してもらう)
→合意書を取り交わす。
③許容する(被越境の場合は、許容してもらう)。

①の「解消する」が対処方法として最善であることは間違いないです。
ですが、越境物が建物の一部(屋根や雨樋等)の場合や、コンクリートブロック塀等の境界工作物等の場合、その越境を解消するためには多額の費用がかかってしまいます。
したがって、「解消する」を選択する場合とは、現実的には越境物が解消しやすいものである場合に限られます。
解消しやすいものとは、具体的には引込線(電気会社等に依頼すれば解消してもらえる)、人力で比較的簡単に移動できる動産物(プランター等)、又は樹木の枝葉等です。

越境の対処方法として、①の「解消する」を検討した後に、②の「将来、解消する」を検討します。
将来解消するといっても、何もせずに放っておくわけではありません。
現時点の対処方法としては、例えば隣接地のコンクリートブロック塀が調査対象物件に越境している場合、「将来、このコンクリートブロック塀の解体又は再設置の際に、越境を解消する」旨の「合意書」を隣接地所有者と取り交わしておき、現在の越境を許容します。

合意書の取り交わしには、その工作物等が越境物であるということを、調査対象物件の所有者と隣接地等の所有者で確認する(認める)効果もあり、これにより「土地の取得時効を防ぐ効果」が生まれますので、越境物は放置せずに必ず書類を取り交わす必要があります。

③の「許容する」とは、越境物を認識しておきながら解消もしてもらわず、また、将来解消する旨の合意書を取り交わすこともなくそのまま放置するということです。
なお、この方法を選択する場合とは「現実的には越境の解消が不可能な場合」が主です。
具体的には、引込線の越境はあるが、接面道路に電柱間電線がなく、新たに電柱の設置が不可能な場合等です。

以上、越境がある場合の対処方法について説明していきました。
越境物の有無は現地調査の時点では判定が微妙なときも多く、その場合、売買契約時点での測量で土地家屋調査士に確認してもらうという方法を取ります。
いずれにしても越境物を発見したときは、安易に許容とはせずに、しっかりと内容を検討して対処しましょう。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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