【重説】公道・私道の考え方について

今回は「公道」と「私道」の考え方について説明していきます。

この公道と私道ですが、法律で明確に定義されているものではありません。
ただし、何となくの考え方はあります。
それは「所有」の観点から考えていく方法と、「維持・管理」の観点から考えていく方法です。

「所有」の観点から考えていく方法とは、具遺体的には次のとおりとなります。

・公が所有する道路:公道
・公以外が所有する道路:私道

この考え方でも大きく問題になることはありません。
ですが、「公以外の一般の個人が所有する道路」でも「市道認定」がされていたりすることがあります。

市道認定がされているということは、道路法上の道路ということになりますので、「維持管理は公が担当する」ということになり、「私道」と称するには適さないようにも思えます。

そこで「維持・管理」の観点から考えてみます。

・私人所有の道路でも公が維持管理をする道路:公道
・公以外の私人等が所有し維持管理も行う道路:私道

この考え方をすると、重説の記載もスムーズにいくことが多いです。
また、維持管理が公になるということは、一般的な私道とは違って、通行や掘削に「土地所有者の承諾」が不要になります。
その点においても「公道」だと考えるておくと、すっきりと考えをまとめることができます。

なお、重説の記載の「公道・私道の別」の中で、「公道」や「私道」という単体の道路種別ではなく、「公道・私道」と記載する場合があります。
その場合の「私道」部分というのは「セットバック部分」だということが多いです。

ただし、このセットバック部分が「公の維持・管理」となる場合は、「公道」ということになります。
ですが、おそらくどの行政でもセットバック部分の維持管理を公で行うためには、この部分を「分筆して寄附」することが求められると思われます。
ですから、セットバック部分は原則として「私道」ということになると思います。
なお、そのセットバック部分も「幅2cm」というような場合、重説に「公道・私道」を記載するかという点については、かなり微妙な話になるかと思います。
そのような場合には公道・市道の別の欄には「公道」とし、備考欄でセットバック部分の説明をするという方が買主に対して分かりやすい説明ができる可能性もあります。

要は、「いかに買主に分かりやすい説明ができるか」ということが大事なわです。
この原則を常に念頭に置いておくとより良い重説の記載になります。

最後に、道路の呼び方の話を付け加えておきます。
呼び方ですが、次のようにすると役所や社内の話し合いでも、相手方に誤って捉えられることが少なくなります。

・公道:こうどう
・私道:わたくしどう
・市道:いちどう

よく「市道」を「しどう」と呼ぶ人がいますが、「しどう」だと「私道」と勘違いされる可能性がありますので、「いちどう」がおススメです。同様の理由で「私道」は「わたくしどう」と呼べば勘違いを防げるわけです。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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