【不動産契約】クーリング・オフに関するポイントについて

今回はある不動産会社における先輩と後輩の会話形式で、クーリング・オフ制度について説明していきます。

後輩:先輩、クーリング・オフ制度について少し確認をしておきたいのですが、今日の夕方契約が決まったんです。

先輩:売買なんだよね。買主は非宅建業者で、売主は宅建業者なの?
買主が非宅建業者で、売主が宅建業者であれば、クオフの適用があるし、そうでなければ適用はないよ。

後輩:あ、そっか。クオフの適用があるのは、買主が非宅建業者で、売主が宅建業者。かつ、売買契約の場合でしたね。

先輩:クオフについては、申込みや契約の場所についても重要なポイントだね。どこで契約をするの?

後輩:今日の夕方にお客様の勤務先に出向いて契約をすることになっています。

先輩:それは、お客様が自ら希望して勤務先を指定したのかな?
まさか君から「勤務先でもどこでも伺いますよ~」なんて言っていないだろうね。

後輩:まさかそこまでは言ってませんよ(失礼しちゃうな!)!
お客様が自ら希望して自身の居宅や勤務先を契約場所として申し出た場合はクオフの適用から除外されることくらいは(さっきインターネットで調べて)知ってますよ!

先輩:それならいいんだけど(笑)。
ところで、今日の契約書には「お客様が自宅又は勤務先を契約締結の場所として特に希望した」旨の記載は入れてあるんだよね。

後輩:あ、そんな記載が必要なんですか…。

先輩:やれやれ。契約や申込みを自宅や勤務先でやる場合は、クーリング・オフの可否が問題になることがあるから、必ず申込書や契約書には「購入者様の希望」により自宅や勤務先で申込み又は契約をする旨の記載は入れておいた方がいいよ。
その記載があることで、お客様もクオフについてしっかりと理解することにも繋がるからね。

後輩:そうなんですね。分かりました。

クーリング・オフについての適用の可否についてのポイント

・宅建業者が「自ら売主」となり、非宅建業者が買主となる、「売買」契約で適用される。
・売主宅建業者や媒介業者の事務所等で「申込み」や「契約」が行われた場合には、クーリング・オフの適用はない。
・申込書の効力として重要なことはクーリング・オフが適用となるか否か。
申込みが宅建業者の事務所等であった場合、その後の契約が買主の自宅等であったとしてもクーリング・オフの適用外となる。
・買主が自ら希望して「自宅」や「勤務先」を申込みや契約の場所とする場合には、クーリング・オフの適用はなくなる。
なお、この場合、申込書や契約書には「買主が自宅や勤務先での申込みや契約を特に希望した」旨の記載をすることが望ましい(万が一、紛争が発生した場合に備えて)。
・買主が「自ら希望」して自宅又は勤務先「以外」の場所で申込み又は契約をした場合は、クーリング・オフの適用が「ある」。適用が除外されるのは「自宅と勤務先」だけ。
・クーリング・オフは宅建業者間の取引には適用されない。
・クーリング・オフの適用がある場合「クーリング・オフができる旨を書面で告知された日から8日以内」に「書面を交付して」する必要がある。
なお、引渡しを受け、かつ、代金の全部を支払った場合はクーリング・オフができなくなる。
・売主宅建業者からの書面での告知がなければ、代金決済・引渡しが完了するまではクーリング・オフの適用がある。
・クーリング・オフは買主が書面を発信したときに効力が発生する。
なお、その場合、売主宅建業者は損害賠償又は違約金の支払いを請求することはできない。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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