不動産会社における社長の右腕となれる社員の特性について

不動産会社において社長の右腕となれる社員は、次のような特性を持っています。

①社長を尊敬していること
②愛社精神を持っていること
③不動産に関する勉強を楽しめること
④自分にも他人も厳しくできること
⑤社長に対しても意見を言えること

それぞれ説明していきます。

①社長を尊敬していること
まずこれが根底にあります。
不動産会社における社長の右腕の役割は、社長の多くが苦手としている契約分野を完璧に処理してくれる人材となります。
したがって、その分野では社長の能力を大幅に上回ることになりますが、その一事をもって社長を見下すようなことがあってはいけません。
そのような人間性では、その人は社長の右腕の資質を欠いているということになります。
なお、不動産の契約分野を完璧に処理していくには、初めにたくさん勉強していく必要があります。
また、ある程度でスキルアップした後でも、一生勉強し続ける必要があります。

なお「社長を尊敬している」ということが第一のポイントになりますが、世の中には表向き社長を尊敬しているように見せているような、お調子者タイプも多いので、右腕を育成する際は人選を誤らないようにしましょう。

②愛社精神を持っていること
社長を尊敬していることに通ずることですが、愛社精神を持っていることも重要です。
今まで多くの右腕人材を見てきましたが、愛社精神はキャリアに比例することが多いように思われます。
したがって、創業間もないころから積極的に育成していくことにより、次の効果が期待できます。

・社長が営業に専念できることにより、会社の業績を伸ばしやすくなる。
・右腕の育成度合いにより、法的に会社を守れるようになる。
・自分が不在しているときでも、右腕に会社を見ていてもらえる。

創業間もないころからその会社に在籍しているような社員は、必然的に社長とさまざまな困難を乗り越える経験を多く積み、愛社精神が芽生えるという人が多いように思えます。
このような人物の中に右腕としての資質を持つ人物がおり、その人物をしっかりと育てられることが、会社を発展させるポイントにもなると思います。

③不動産に関する勉強を楽しめること
大手の不動産会社に新卒で入るような人は別ですが、不動産業界に入ってくる人間は基本的に「稼ぎたい」という意識をもってこの業界に入ってきます。
当然「稼げる!」みたいな内容の求人ばかりなので、そのような人ばかりが集まるわけです。
そのような人物ばかりを集めているわけですので、不動産に関する勉強するというよりも、営業の実務ばかりに時間を使う人が多いです。
また、勉強するといってもせいぜい宅建の試験勉強だったり、すでに宅建に受かった人であれば、FPや管理業務主任者、マンション管理士などの資格試験の勉強だったりします。
それらの資格試験の勉強でもやらないよりはマシですが、試験勉強は実務能力を高めためには非常に効率の悪い方法です。
そのため、実務能力が高まる「生きた勉強」が必要になるわけですが、その勉強を一生やり続ける必要がありますし、資格のように履歴書に書けるようなものでもないので、純粋に不動産の勉強を楽しめる人でないと難しいと思います。

④自分にも他人にも厳しくできること
社長の右腕たる人材は他人(他の従業員)に厳しく接することができる必要があります。
その前提として、自分にも当然に厳しくできなければなりません。
これは仕事中の空気感にも言えることで、私自身、会社は上層部の誰か一人は「厳しい空気感を持っていることが大事」だと思っています。
社長が従業員に厳しくしても良いと思いますが、できれば社長は少しおおらかに社員に接し、右腕が社員に厳しく接するというような役割分担ができると良いバランスになると思います。
その分だけ右腕となる人材の負担は大きく、時には社員から社長に「(右腕の人)〇〇さんが厳しすぎる」とクレームが入るかもしれませんが、そのときは、社長は社員の話は聞いてあげつつも、最終的には社長自身が右腕となる人材を守ってあげなければなりません(本当にパワハラとなっているときは、当然対処しなければダメですが…)。

⑤社長に対しても意見を言えること
「社長を尊敬している」「愛社精神もある」ということが前提となる上で「社長に対してもダメなことはダメだと言える」ことが重要です。
右腕となる人材は、社長の「イエスマン」では務まりません。
不動産流通はお客様の人生に大きな影響を与える重要な仕事であり、さまざまな法令等による規制がされています。
そのような意味もあって、たとえ相手が社長であろうとも、ダメなものはダメだと言える人材であることが、右腕人材の大きな適正となってきます。

このように不動産業における右腕の役割は誰でもなれるわけではありませんので、できるだけ早期に育成に取り組む必要があります。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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