私設管を使用している場合の対処方法について

接面道路が私道の場合と同様の注意事項として、上水・下水道を「私設管」から引込んでいるというパターンがあります。

公道に敷設されているものは公設管、私道に敷設されているものは私設管だと、ときどき勘違いしている人がいます(そのようなパターンが多いのも事実です)が、必ずしもそうではありません。
公道に敷設されている私設管もありますし、私道に敷設されている公設管もあります。

現地調査時点で私設管か公設管かを見分けることは困難ですが、接面道路が私道の場合には、「私設管かもしれない」と警戒しながら調査することによって、現地で何らかの痕跡を見つけられることがあります(気にしていると近隣ヒアリングで質問項目に上がり、ヒアリングした方がご存知だったりします)。

また、下水道本管は公設管の場合、市区町村等の公のマークが入っている鉄蓋を使用しているものですが、私設管の場合は「単なるコンクリートのフタ」を使用しているなど、私設管であることを匂わせる情報を発見することができます。

そのようにして現地で集めた情報があれば、役所調査で私設管であることが判明しても慌てずに、やるべきことを判断することができます。

調査対象物件が私設管を使用している(又は宅建業者が仕入後に同私設管を使用して、新たに給水管の接続をする)場合、近隣ヒアリングか、役所調査で判明させた私設管所有者に会いに行き、「私設管の使用、分岐に関する承諾書」を取得します。
なお、十分に調査をしても、私設管所有者に会えない(行方もわからない)場合、承諾書の取得について、どうするかを再度検討する必要が生じます。

ちなみに「私設管の維持管理は、原則としてその管の所有者が行う」ものですが、役所調査では、上水道私設管の場合でも「漏水等の対応は役所で行う」といわれることがあります。

この「役所で行う」の回答をもって「公の維持管理→公設管」と考えてしまう調査担当者がいますが、この考え方は誤りです。

漏水の場合、役所にて対応するというのは、「役所としても漏水しているものを黙って見ているわけにもいかないので、(いわば仕方なく)対応する」という意味です。
維持管理を公で行っている管か否か(公設管か私設管か)を役所調査で確認するときは、「管が老朽化した場合、役所の費用で新しいものに変えてもらえるのか否か」という質問をすると、分かりやすい答えが得られます。

老朽化している管を役所の費用負担で新しいものに「交換してくれる」ということであれば公設管、してくれないということであれば「私設管」と理解すればひとまず問題はないでしょう。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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