敷地周辺にブロック塀がある場合の注意事項

敷地周辺にブロック塀等の境界工作物がある場合は、次の点に注意が必要です。

①ブロック塀の所有権は誰になるのか
②ブロック塀が法令に適合しているのか
③ブロック塀に問題(亀裂、傾き等)はないか

①ブロック塀の所有権は誰になるのかについて
ブロック塀が調査対象物件の境界線付近に設置してある場合には、その塀について次の項目の確認が必要になります。

・塀の所有権はどちらになるのか(調査対象物件の所有物なのか。隣接地の所有物なのか。)
・境界塀は、境界線のどの位置に設置されているのか(中心積み。内積み。外積み)

ちなみに塀の所有権は、原則として「その塀を設置した人」となります。
ただし、中心積みで設置されている塀について、どちらか一方が塀を設置したとしても、隣接地所有者との間で「共有にする旨の取決め」をしている場合は、その取決めに従います。
この取決めについては、調査対象物件の所有者や隣接地の所有者へのヒアリングで確認する必要があります。

なお、新築時から既に設置されていた場合で、調査対象物件の所有者も隣接地の所有者も塀の所有権が分からない場合は、原則として次のとおりとなります。

・中心積み(境界線に跨って設置されている):共有
・内積み(調査対象物件内に設置されている):調査対象物件の所有
・外積み(隣接地内に設置されている):隣接地の所有

現地に境界標がある場合、その境界標付近に設置されている境界工作物の位置(中心積み、内積み、外積み等)についての予測はつきます。
なお、塀の所有権を確かめたときに、塀の所有権が前述の状態と異なる場合(中心積みなのに共有ではない等)は、原則としてその塀は越境しているということになりますので「なぜこのような状況(越境状態)」になっているのかについて、さらに詳しく調査していく必要があります。

②ブロック塀が法令に適合しているのかについて
ブロック塀が法令に適合しているか否かについても確かめる必要があります。

そのため、ブロック塀に関する法令については、ある程度頭に入れておくと良いでしょう。
なお、ブロック塀は、ある程度の高さになると内部に鉄筋を配置する必要がありますが、既存の塀の場合、内部に配置された鉄筋を確認するためには、特殊な調査が必要になります。

したがって、ブロック塀が法令等に違反している可能性が見受けられる場合、ブロック塀の上部をカット等することにより、高さを調節して法令に適合させる方法も選択肢の一つとして使えます。

ちなみに、法令に適合しないブロック塀が問題になるのは、多くの場合「調査対象物件の所有(又は隣接地との共有)する塀」の場合であり、隣地所有の塀が法令に適合しなくても問題になることはほとんどないです。

ですが、私がかかわった案件で、土地で売却しようとしていた物件について、その土地に建物を建てようとしていたハウスメーカーから、「隣接地のブロック塀が法令に違反しているから、そのハウスメーカーが建築する際に、隣地のブロック塀について、法令に適合させる工事をするので承諾を取ってほしい」と依頼されたことがあります。
そのようなこともありますので、隣接地の所有物だからと気を抜いてはいけません。

③ブロック塀に問題(亀裂、傾き等)はないか
ブロック塀も亀裂や傾き等があると、倒壊等の危険が出てきます。
その場合は、法令等の要件を満たすブロック塀だったとしても、解体・再設置を検討する必要が生じます。

なお、ブロック塀の一部が土留めになっているようなパターンもときどき見受けられますが、コンクリートブロックを土留めに使用することはできません。

どの程度の高さまで土留めとして使用しているのかの程度にもよりますが、危険な状態だと認識する必要があります。
また、ブロック塀の下部に、コンクリートで築造された土留め等がある場合、ブロック塀の高さはどこから計測する必要があるのか等についても役所でしっかりと確認する必要が生じます。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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