土壌汚染が疑われるパターンについて

調査対象物件や、隣接地等に、現在建っている(又は以前建っていた)建物の種類や、そこで行われている事業の種類により、調査対象物件の土壌汚染の可能性について考える必要が生じます。

なお、ここでは「土壌汚染対策法」に定める「要措置区域」や「形質変更時要届出区域」については、考慮せずに説明していきます。
これらの区域に入っている場合、土壌汚染の可能性については、当然に気にしなければならなくなるからです。

なお、土壌汚染を発生させそうな事業としてわかりやすいのは、ガソリンスタンドがあげられます。
また、工場も懸念すべきですが、工場については「何を作っている工場だったのか」が重要になります。
例えば、自動車整備工場や印刷工場は、土壌汚染のリスクが高まります。
なお、土壌汚染リスクが高まる工場として、意外と知られていないのが、クリーニング工場です。
クリーニング工場については、単にクリーニングを取次ぐためだけの店舗は問題にはならないのですが、実際にクリーニングを行っているドライクリーニング工場が問題になります。

では、調査時点で、すでにこれらの工場等がない場合は、どうすれば良いのかについて説明していきます。

①売主等にヒアリングをする
現在更地となっている場合は、売主から「以前、土地上に何が建っていたのか」についてヒアリングします。
また、売主が「相続等」により物件の所有者となっている場合には、かつて土地上に存していた建物のことなど知らない可能性もあります。
その際は、売主の了承を得て、近隣住民からヒアリングをしても良いでしょう。
ヒアリングの結果「土地上に工場が建っていた」と確認することができることがあります。

②建物の閉鎖事項証明書を取得して確認する
建物が取り壊されて滅失登記済みでも、滅失済みの建物の登記記録(閉鎖事項証明書)を取得して調べることができます。
なお、登記記録だけでは「工場」のみの記載のため、「何を行っていた工場だったのか」までは分かりませんが、深く調査をするきっかけになります。

③住宅地図で確認する
物件調査時には、まず「住宅地図」を用意します。
なお、その住宅地図に「取り壊し前の建物の記載」と「何の建物が建っていたのか」がおおむね分かるような記載(〇〇自動車整備工場等)がある場合があります。
なお、最新の住宅地図には記載が無くても、過去の住宅地図を参照すると、「工場」等の記載を見付けられることもあります。
また、住宅地図と同じようなものに「航空写真」があります。
これも過去に遡れますので、調査方法として有効です。

上記が、だいたいの調査方法であり、上記の調査の結果、「土壌汚染の可能性が高そうだ」となった場合には、不動産業者ではこれ以上の調査は不可能ですので、売主にその旨を報告し、専門業者による調査を実施するか否かを決めてもらう必要があります。

なお、売主が「専門業者による調査をしない」という決断をした場合、そのリスクは売買代金に反映されるということになり、かつ、売買の際には、重要事項説明書にてしっかりと「リスクがある旨」と「調査を行っていない旨」を説明する必要があります。

ちなみに、買主が「専門業者による調査を希望した場合」は、売主と買主で協議の上、決済時までに「①誰の負担で調査をするか」「②汚染が見つかった場合はどうするか」について取決めて契約をする必要があります。
②の「どうするか」については、「汚染を除去するのか否か」の話になりますが、除去するとなった場合でも、「過分に費用が掛かるときは別途どうするか(代金を減額するのか。契約を解除するのか等)」まで決めておく必要があるでしょう。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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