現地で中古住宅を見るときに気を付けるポイント

現地で中古住宅を見るときは「建物の劣化状況」と「法令面」の二つの視点からチェックをしていく必要があります。

・建物の劣化状況について
建物の劣化の状況としては、主に次の項目にチェックが必要になります。

①雨漏りの有無
②外壁や基礎のヒビ等
③白蟻被害

①雨漏りの有無について

雨漏りは雨が降っていないと分からない場合もありますが、売主からのヒアリングや天井等のシミ、屋根裏のチェック等により発見できる場合があります。
また、屋根裏チェックの際には、何らかの動物の侵入跡も発見できる場合があります。

②外壁や基礎のヒビ等について

外壁や基礎にヒビ等がある場合、家に不同沈下の発生がないかの疑いを持つ必要があり、この問題は、売主へのヒアリングや建物内部のチェック等によって発見できる場合があります。
なお、厳密な調査となると専門家に依頼する必要がありますが、厳密な調査を要する可能性があるのか否かを発見できること自体がまずは大事です。

③白蟻被害について
白蟻被害の有無については、基礎(外側)や家の木部(玄関ポーチの柱等)に蟻道や蟻害がないかを確認するとともに、家の中も確認します。
畳を剥がすと蟻害が見つかる場合もあります。

なお、経験上蟻害が多く発生する箇所は次のとおりです。
・部屋の隅の部分
・風呂場、洗面所などの水まわりの周辺
・水まわりの上に階段が乗っているときはその階段
・玄関
蟻害チェックのポイントは上記のとおり、部屋の隅をよく見ること、風呂場、洗面所などの水まわりの周辺、窓等の開口部とその下部が危ないですが、壁の内部をやられている場合が多いので、壁を壊して内部を確認してみないと判明しない場合も多いです。
また、基礎の内側については、床下点検口から確認できますので、蟻害がないかを確認しましょう。
白蟻業者に床下に潜ってもらうという手も有効です。

・法令面について
法令面では、主に次の項目のチェックが必要になります

①未登記(増・減築、屋根)の有無
②建蔽率・容積率の違反の有無
③外壁後退制限の抵触の有無

①未登記(増・減築、屋根)の有無について

建物の未登記については、建物図面・各階平面図と実際の建物を照合することによって確認します。
建物が2階建ての場合、2階部分の照合を忘れることがないよう、注意をしましょう。

また、屋根については、登記記録と照合して確認します。
変更があれば、更正登記等により、正しい登記記録の内容とする必要があります。

その際の「売主の責任・負担」で登記を行うのか、登記は行わない(買主の責任・負担で行う)のかについて契約にあたり取り決める必要があります。

未登記の建物(倉庫・車庫等)がある場合も同様です。

②建蔽率・容積率の違反の有無について

建物に増築がある場合「建蔽率・容積率違反」になっていないかを確認する必要があります。
これは、現況の敷地と建物を計測し、計算することで確認することができます。
ただし、建蔽率・容積率がギリギリの場合は、専門業者に依頼して正確な数値を得る必要が生じるかもしれません。

なお、カーポートについても「建蔽率」に算入されますので、気を付けましょう。

増築の場合、建築基準法上の「確認」が必要なのか否かと「登記」が必要なのか否かの要件が違いますので、一度勉強して知識を整理しておきましょう。

なお、知識ですが、情報の詳細を頭に入れておく必要はなく、最低限の部分のみ頭に入っていれば十分です。
最低限の知識だけ頭に入っていれば、その知識をきっかけとして、現地調査の際に「問題点があることに気付ける(又は問題がありそうだと感じることができる)」ようになります。
問題がありそうだと感じることができれば、問題の詳細は改めてしっかりと確認することができます。

③外壁後退制限の抵触の有無について

外壁後退制限については、緩和がありますので緩和の要件を知っておきましょう。
なお、外壁後退制限に抵触している場合ですが、原則として、外壁後退制限に抵触している部分「以外の部分」の増築等を行う際にも「違反部分の是正」を行う必要が生じるという点に注意が必要です。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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