送電線下の土地の場合の注意点について

調査対象物件が送電線の下にある場合の調査のポイントについて説明します。

まず「送電線」ですが、鉄塔につながれて電気を送る線のことであり、道路に敷設されている電柱間の電線のことではありませんので、その点について勘違いをしないように読み進めてください。

なお、建築において制限がかかるのは7000V以上の「特別高圧」となります。

送電線下の土地の注意点は次のとおりです。

①登記記録で送電線があることを確認する
②地役権が設定されていない土地がある場合は、電力会社に契約等がないかを確認する
③ギリギリ上空を通過していない場合は、現地調査で見落とさないように注意する
④送電線及び鉄塔は嫌悪施設
⑤広告での説明が必要

①登記記録で送電線があることを確認するについて

不動産の物件調査にあたり、調査対象物件が送電線下にある場合、まずは「登記記録」によって判明します。
というのも、送電線下にある土地は、多くの場合、電力会社による地役権が設定されているからです。

次に公図を見てみると、送電線が上空を通過している範囲に二本の線(平行して記載されている境界線)が、公図上で確認できる場合があり、「この範囲(二本の境界線の内側)が地役権が設定されている範囲なのだろう」と推測することができます。

また、調査対象物件の土地の一部に地役権が設定されている場合は、地役権図面が作成されているはずですので、併せて取得します。
地役権図面は、調査対象物件に地積測量図がない場合のも参考にできます。
なお、地役権の範囲が土地全体におよぶ場合には、地役権図面の作成はありません。
考えてみればわかることですが「土地の範囲=地役権の範囲」では、情報が「地積測量図」と同じになるため、無意味だからです。
地役権設定がされている場合、建築に関する制限の内容が登記されており、その内容は重説に記載して説明する必要があります。
普段から、登記記録の内容をしっかりと重説に記載するようにしておけば、説明がモレてしまうことはありません。

②地役権が設定されていない土地がある場合は、電力会社に契約等がないかを確認するについて

①に記載の二本の線内に調査対象物件があるにもかかわらず、地役権設定がない場合は、電力会社に地役権や制限の有無等について問い合わせてみましょう。
単に設定がモレているだけで、契約自体はあるかもしれません。
また、この問い合わせをきっかけとして地役権設定を求められるかもしれません。
その場合は、補償金をもらえると思われますので、その点についても確認します。
すでに地役権が設定されている土地についても保証料の有無について確認します。

③ギリギリ上空を通過していない場合は、現地調査で見落とさないように注意するについて

調査対象物件が送電線下にある場合でも、地役権の設定がされていなかったり、また、ギリギリ地役権設定を要しない位置に物件がある場合があります。
その場合、現地で送電線を見落とさないように気を付ける必要があります。
「あんな大きくて目立つものを見落とすわけがない」と思うかもしれませんが、まれに上空の送電線を見落とすという失敗例を聞きます。
不動産の調査では、どうしても下ばかりを見てしまうため、上空を見上げるのを忘れがちになるのが原因です。
また、雨が降っている日に、雨合羽を着て調査をしていたり、傘をさしているときも要注意です。
調査の際には、調査項目の中に「上空を見上げる」や「送電線の有無を確認する」等を入れておくと良いでしょう。

④送電線及び鉄塔は嫌悪施設について

送電線や鉄塔は「嫌悪施設」になります。
地役権設定がされていない場合は、登記記録の欄で説明をすることがありませんので、別途「周辺施設(嫌悪施設)」として説明をする必要があります。
なお、嫌悪の対象としては、眺望の阻害、風や雨等の際の音、鉄塔が倒壊する危険性、電波障害や電磁波等による懸念があげられます。
説明の際は、住宅地図に送電線や鉄塔の位置を分かりやすく記載するようにしましょう。

⑤広告での説明が必要について

送電線下にある土地を広告する際には、全ての広告媒体で「送電線下の土地」である旨を明示しなければなりません。その際は、送電線化の部分の「おおよその面積」についても明示する必要があります。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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