現地調査時の重要な項目の一つに「未登記の増減築がないか」というものがあります。
今回は「未登記増減築の発見方法」について説明していきます。
なお、未登記増減築を発見するためには、あらかじめ「建物図面・各階平面図」を登記情報提供サービスから取得しておく必要があります。
また、現地調査の時点で、役所で取得できる「建築計画概要書」があれば良いのですが、通常の不動産物件調査の流れとして、役所調査は現地調査の後に行いますので、現地調査時点ではなくても仕方ありません。
上記を踏まえて説明に進みます。
未登記増減築部分の発見のためには、次の方法が有効です。
①調査対象物件の所有者にヒアリングをする
②内覧時に間取りを確認する
③建物の外周を計測して確認する
①調査対象物件の所有者にヒアリングをする
まず、最も簡単に未登記増減築を発見する方法ですが、「調査対象物件の所有者に確認する」というものです。
これにより増減築の有無が判明することがあります。
ただし、物件の現所有者が、調査対象物件を相続により取得した場合や、もともと中古で購入していた場合には、現所有者も知らないということもあり得ます。
また、売主において「新築時(又は増築時)の建築確認申請書類一式」を保管していることがあります。
この書類を確認し、しっかりと検査済証も取得していれば、詳細に未登記増減築の場所や内容が分かります。
なお、未登記があるわけですので、調査対象物件の所有者には、適切な対応を促す必要があります。
②内覧時に間取りを確認するについて
所有者に確認しても「所有者も知らない」ということはよくあります。
そのような場合は、内覧時に間取図を作成し、その過程で未登記を発見するという方法があります。
なお、判断が難しいものとして、小屋裏収納が増築となっているパターンがあります。
もともとの建物が木造2階建てだった場合、小屋裏収納部分が増築となってしまうと、木造3階建てとなってしまいますので、原則として、この場合の小屋裏収納は潰すべきだという選択になります。
法令をよく検討して所有者に対して適切なアドバイスができるようになりましょう。
また、もともと吹き抜けだったところに床を張っても増築になりますし、出窓の下に収納を付けても増築になりますので、普段から増築に関する基本的な知識は頭に入れておくようにしておきましょう。
ただし、情報を頭に入れるといっても、何もかも頭に入れる必要はないです。
そもそもそんなことは不可能ですし、自分の記憶などあてにしてはいけません。
知識というものは、問題があるものを目にしたときに、「あれ?何かおかしいな?」と感じられるというレベルで持っていることが重要です。
そして、長い年月をかけて、このレベルをできるだけ広げていくようにしましょう。
ちょうどクモが大きな巣を張っていくようなイメージです。
情報が、張り巡らされたクモの巣に触れる(なんかおかしいなと感じる)ことにより、改めて詳細に法令違反の有無等を調べることができるようになります。
改めて詳細に調べることにより、正確に問題点を発見できれば良いのです。
③建物の外周を計測して確認するについて
②の内覧もできないような段階での調査では、建物の外周を計測して確認するしかありません。
外周を計測すると、各階平面図と比べて誤差が発生します。
したがって、外壁材の厚み程度の小さな誤差であれば、「未登記なし」だと判断できるということになります。
また、2階については外周を計測するというわけにはいきませんので、1階の情報をベースに「建物図面と見比べて確認する」ということになります。
①や②の方法と比べると調査として弱いですが、実はこの方法でも未登記の増減築を発見できることは多いです。
現地調査の段階で未登記がありそうだと感じた場合でも、どの部分を増減築したのか分からないということがあります。
この場合、役所で「建築計画概要書」を取得して確認することにより、未登記部分が判明することがあります。
ちなみに、この建築計画概要書を取得できるということは、建物新築時又は増築時に建築確認を取得しているということになりますので、基礎知識として押さえておきましょう。
なお、建築計画概要書は、役所での保存期間が経過すると廃棄されてしまっていることがあります。
