不動産業界で最小限のリスクで独立する方法

現在不動産会社に勤めている方の中には、将来の独立を視野に入れている方もいると思います。

今回はそのような人に参考にしていただきたい記事です。

まず、独立が絶対に成功するために必要な要件があるとすれば、次の3点があげられます。

①無尽蔵にお金がある。
②不動産関連の法令や実務に精通している。
③不動産関連の集客に精通している。

上記の①から③を全て持っていれば、成功は確実ですが、現実としてあり得ません。

ですが、できるだけ理想の状態に近づけるようにすることで、独立の成功確率が高まることは間違いありません。

では、理想の状態に近づけるようにするには、そのためにはどうすればいいのか。

理想の状態に近づけるために、考えられる手順としては次のとおりです。

①独立の時期を決める
②独立時の貯金額を設定し、逆算して貯金をしていく
③不動産業での集客を学ぶ
④独立後の手続等の勉強をしておく

①独立の時期を決めるについて

まずは独立の時期を決めます。
ときどき、何事も「全ての条件が整ってから」みたいなことを言う人がいます。
ですが、一生かかっても全ての条件が整うことなど無いので、意を決して「独立時期」を決めてしまいましょう。
なお、現在の仕事が安定しており、かつ、ある程度の給与を稼いでいる方であれば、独立時期は、半年から1年程度の期間で設定し、少し慎重派の方は、1年から2年程度の期間で設定するのが良いと思います。
独立時期が2年以上先になると、独立が現実味を帯びなくなってきますので、無意味な目標となる可能性があります。

②独立時の貯金額を設定し、逆算して貯金をしていくについて

独立にあたり、絶対に必要なものは「お金」です。
ただし、不動産業は飲食店等の商売と比較すると、はるかに少額での独立が可能な業態ですので、飲食店のように数千万円も用意をしたり、借り入れをしたりする必要はありません。
不動産業で独立するには、半年間収入が無くてもやっていける金額を目安にお金を用意すると良いです。
なお、ここでの半年とは「集客費用を含む、会社の経費の半年分」と「自分の生活費の半年分」のことです。
具体的には、会社の経費が集客費用を入れて月額30万円必要で、生活費は切り詰めて20万円必要だった場合、必要月額の合計は月50万円になります。
その半年分となると300万円は確保する必要があるということです。
必要になる金額は「どのような形で会社を立ち上げるか」によって変わってきますが、初めはできるだけ少ないコストで始めることをお勧めします。
なお、不動産業での開業の場合、人件費を除けば、コストが最もかかるのは「事務所」だと思います。
ですから、初めは「駅から遠い、ワンルームマンションの一室」のようなところを検討してすることも重要です。
駅から遠くてはお客様にとって不便だと思われるかもしれません。
ですが、別に駅に迎えに行く方法でも良いのです。

また、車についてですが、本来は固定費となりますが、カーシェア等を利用することで変動費にすることも、初めのうちは有効です。

このように、自分の中で最低限必要になる費用を算出し、独立時期をゴールに貯金を作っていきます。

仮に、現在貯金が全くない状態だとして、独立を2年後、資金目標を300万円設定した場合、「月額125,000円」の貯金が必要になります。
現在のサラリーマンの給与では、この貯金額が厳しいという方もいると思います。

その場合でもできるだけ頑張って貯金はするようにしましょう。
また、独立時には創業融資を受けるという手もあります。
ただし、創業融資を受けるにしても貯金0円の状態では、300万円を借り入れることなど不可能です。
ですから、できるだけ目標額に向けた貯金はしていくようにしましょう。

目標額の貯金を作っていく過程で、節約習慣が付き、創業当初のコスト削減にもつながります。
また、貯金ですが、創業融資の借入れを見越して、普段使っている預金通帳に貯めていくのではなく、独立用の預金通帳を一つ用意して、そこの貯めていくのもポイントです。

③不動産業での集客を学ぶについて

独立に際して最も重要なスキルが「集客スキル」です。

不動産業は非常に多くの法律が絡んでくるために、法令等の知識も欠かせませんが、法令等の知識もお客様がいて初めて役に立つというもの。
そもそも集客ができなければ何の意味もないのです。

それに対し、集客スキルさえあれば、極端な話、実務が全くできない人であっても、同業者にお客様をご紹介して紹介料をいただいたり、紹介のついでに仕事を見学させていただくなどして学ばせていただくことも可能になります。

また、集客スキルが低い人は、たいして集客に結びつかないような広告等に大量に資金を投入したりします。

これではお金がいくらあっても足りません。
経営者であれば、集客スキルを高める努力は常にしつづける必要があります。

④独立後の手続等の勉強をしておくについて

現在不動産会社で営業をやっていたとしても、不動産会社の事務作業については、良く分からないという方も多いです。
独立後にいきなりそれらの事務作業を学ぶのはタイヘンですので、できるだけ独立前に知っておくようにしましょう。
ただし、何から何までできるようになる必要はありません。
そもそも、不動産の手続きについては、勉強しつくすなど不可能ですので、独立後も継続して勉強をしていく意識でいれば問題はありません。

最後に
今回の記事は、現在不動産業界にいるか、又は現在不動産業界にはいないものの、過去にある程度の期間、不動産業界にいた人に向けての内容です。
そのため、独立の準備として「宅建士資格を取得する」というような基本的すぎる内容については触れていません。

なお、独立に際し、資格取得に走る人がいます。
独立の不安を少しでも和らげたいのでしょうが、すでに宅建士資格を取得しているのであれば、他の資格は取得しても「プラスアルファ」程度の効果しか得られず、その割には、資格を取得するために膨大な時間を使うので、やめましょう。
どうしても取得したい資格(やりたい仕事)があるのであれば、資格取得を目指しても良いとは思いますが、正直言ってどのような資格を取得したとしても、不動産業界で起業して成功するほどの収入は得られませんので、不動産会社をできるだけ小資金で軌道に乗せる勉強を続けることが最もコスパは良いです。

どうしても取得したい資格は、不動産会社を軌道に乗せてから、「それでもなおその資格が欲しい」と思えるのであれば、取得を目指せば良いでしょう。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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