従業員に将来の目標を聞いてもほとんどの場合は無意味

不動産業でも、やる気がある社長だったりすると、よく従業員に「将来はどうなりたいの?」というような目標(夢?)を聞いたりします。

ですが、ほとんどの場合この質問は無意味です。
無意味といいますか、逆に従業員を困惑させるだけだということもおこります。

確かに従業員にも夢や目標はあると思いますが、それは多くの場合「仕事とは何の関係もない目標」であることが多いです。

つまり、そもそも従業員は、自分の目標をかなえるために仕事に来ているのではなく、単に「生活のために仕事にきている」という人がほとんどだということです。

従業員時代から仕事をバリバリしてきた社長からすると、従業員のこうした感覚は、よく分からないかもしれませんが、これが真実です。

ですが、従業員の側も社長から「目標はあるの?」と聞かれれば「仕事の目標はない。生活のために会社にきています。」とはいえません。
また、本当は個人的な目標を持っている人でも「ユーチューバーとして、食べて行けるようになりたいので、毎晩動画の撮影と編集をしています。」というような、会社とは何の関係もない目標もなかなか口に出せません。

結果として「主任になりたい」「課長になりたい」「店長になりたい」というような、どうでも良い目標を並べてその場をしのぐということになります。

ですから、社長は、従業員に目標を聞いたりするのはやめましょう。
時間を無駄にするだけですし、気を遣わせるだけです。

とはいっても、会社では、普通は「従業員に目標を出させ、その目標に対しての達成度」で従業員を評価したりします。

つまり、目標を聞かないとなると、評価の材料がなくなってしまうわけです。

そこで、お勧めしたい方法があります。
それは、従業員に今後、どのように成長して、より会社に貢献してくれるかを聞くということです。

そのためには、前提として社長の方からも「会社としては、今後このように成長していってほしい」という趣旨の書類をあらかじめ作っておき、従業員はそれについて了解しているという状況を作っておくのも大事です。

つまり、入社前の面接の段階から「今後このように成長していってほしい」という趣旨の説明したうえで、入社を決めてもらうということです。

そうした前提を作ってから、社長と従業員との間で、従業員の個人的な目標などではなく「従業員の会社への貢献度」を評価の指標としていくのです。

従業員も、会社よりも自分の生活の方が大事であることは言うまでもありませんし、それぞれに個人的な目標も持っている人は多いでしょう。

ですが、社長側に立ってみた場合、社長というのは「会社=自分」というパターンがほとんどですので、従業員にテキトーに仕事をされても困るわけです。

だからこそ、目標などという曖昧なものを従業員から出させるのではなく、従業員自身に「自分の能力を使って、どのように会社に貢献してもらえるか」を考えてもらい、これを「従業員の会社に対する目標」とすれば良いのです。

そして、さらに、この会社に対する目標を「細分化」します。
細分化することで、具体的にどのような方向性で努力をしていけば、従業員が「会社に対する目標」を達成できるのかが明確になります。

そのようにして「目標」を設定していくことで、社長と従業員の間で、仕事に対する考え方にミスマッチをおこすこともなくなります。
ここまでやって、ようやく面談も意味あるものにすることができます。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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