社員のヒアリングの技術を最短で高める方法について

不動産業の場合、仕入営業でも、仲介営業でも、現地調査の近隣ヒアリングでも、役所調査でも、何でもヒアリングをすることで、いろいろな情報が得られます。

不動産業の業務は全て、ヒアリングによってスタートするといっても過言ではありません。

営業をしていると、ときどきダメ社員が「お客が教えてくれなかった(ダメ社員はあまり「お客様」と言わない)。」とか「役所の担当者が教えてくれなかった。」という趣旨の発言をし、人のせいにしようとします。

当然、必要な情報が得られないのは他人のせいではありません。
必要な情報が得られるようにヒアリングをしていない自分が悪いのです。

では、どのようにすれば必要な情報を得ることができるようになるのでしょうか。

答えは「欲しい情報について直接的に、具体的に質問をする」ということです。

これは、お客様に対しても役所の担当者に対しても同様です。

ただし、お客様に対しては、具体的な質問をする前に少しリラックスしていただくための雑談が必要になることが多いでしょう。

なお、「具体的な質問」ですが、これをするためには「知らなければならない情報」をあらかじめ把握できている必要があります。

したがって、ある程度、仕事に関する知識がなければ、質問の精度を上げることなどできないということになります。

ですが、仕事に関する知識量を増やすためには、何年もかかるのが通常です。

それまで、まともに質問もできないようでは仕事になりません。

そこで、経営者としては「お客様に対して、ヒアリングしなければならないことをまとめたチェックリスト」や「物件調査時にヒアリングしなければならないことをまとめたチェックリスト」を用意し、社員に使わせるのが効果的です。

また、社長としては、社員がチェックリストの内容を、ロクに分かっていなくても最低限の仕事(ヒアリング)はしてこられるようにリストを作ってあげる必要があります。

もちろん将来的(数年後)には、チェックリストの内容を全て理解したうえで質問ができるようになっていて欲しいものですが、社員全員がそのようにうまく育つということはありません。

したがって、社長としては、まず従業員に「チェックリストの内容をモレなくヒアリングできるようになってもらう」程度のレベルになってもらえるよう教育をしていきましょう。

ちなみに、この程度のレベルの社員でも、社長側から見れば「最低限の成果を出せている」と評価することができるでしょう。

また、従業員の側から見ても、このレベルに到達すると、経営者や上司から「ガミガミと怒られたり」「ネチネチと小言をいわれる」ことが少なくなるため、仕事の満足度が高まります。
従業員の中には、「自分は仕事ができるようになった」と勘違いし、急激に調子に乗り始める担当者も出てくるでしょう。

なお、このレベルよりもさらに上のレベルに自分のスキルを高めようと思った場合、従業員が自ら積極的に勉強をしていく必要があります。

この場合の勉強は、経営者の側から従業員に促したところで、ほとんどの人はやりませんし、やる人は言われなくても勝手にやるようになります。

これから上の段階よりも先に進む人は「将来的に幹部社員になる素質がある人」ですし、これより上の段階に進まない人も、チェックリストを使って最低限の仕事(ヒアリング)はできているわけですから「社員としては最低限の役には立っている」といえる人材です。

いずれにしても経営者として大事なことは「まずはチェックリストやヒアリングシートを準備する」ということです。

これを作ることで、新入社員が「最低限のヒアリングができる状態」に最短で到達できるようになります。
また、最低限のヒアリングができるようになった後は「幹部社員にまで進めるか否かがある程度判断できる」ようになります。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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