不動産業を開業するためには、宅建免許を取得しなければなりません。
ちなみに、宅建免許を取得するのは、「個人」でも「法人」でもできます。
そのため、不動産業で開業するために、会社を設立するということが絶対条件とはなりません。
ただし、自身が立ち上げた組織を「長く続けていきたい」とか「もっと大きくしたい」というような願望が少しでもあるのであれば、やはり会社設立は欠かせないでしょう。
なお、会社というと株式会社が良く知られていますが、合同会社という形態もあります。
この合同会社ですが、株式会社に比べて設立費用が安くなるというメリットがあるものの、株式会社に比べて知名度で少し劣るため、採用活動や資金調達という点で不利になる可能性があります。
※合同会社設立の流れについては、次のページをご確認ください。

今回は、株式会社の設立の流れについての説明をします。
株式会社設立の流れは次のとおりです。
①会社の基本情報(定款の記載事項)を決めて定款を作成する。
②印鑑を作成する。
③公証役場にて定款の認証を受ける。
④資本金の払込みをする。
⑤法務局へ登記申請をする。
①定款の記載事項を決める
まずは会社の基本情報(定款の記載事項)を決めていきます。具体的には次のとおりです。
・目的
・商号(会社名)
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額(資本金)
・発起人の氏名又は名称及び住所
それぞれ説明していきます。
目的:不動産業を開業するわけですから、目的欄には不動産業を開業する旨の記載がなければ宅建免許を取得することができません。
具体的には「不動産の売買、賃貸、管理、交換及びこれらの仲介」という文言を入れます。
商号:いわゆる会社名です。
他の有名企業等とあまりにも類似しているものは使用できません。
また、「株式会社」という文字は必ず入れます。
本店の所在地:定款の記載は、最小行政区画(〇県〇市)までで大丈夫ですが、登記申請の際は、具体的に地番まで記載をする必要があります。
設立に際して出資される財産の価額又はその最低額:いわゆる資本金の額ことです。
なお、資本金の額は1円からでも大丈夫なのですが、最低でも100万円くらい(できれば300万円くらい)は入れるようにしましょう。
発起人の氏名又は名称及び住所:不動産業の新規開業では、発起人がそのまま代表取締役になるでしょう。
記載にあたっては、印鑑証明書と同じように記載します。
上記の記載は、必ず定款で定めなければならないことですが、他にも公告の方法や役員の任期など決めるべきことはたくさんあります。
②印鑑を作成する
会社の設立にあたり「会社の印鑑」が必要になりますので、商号等が決まったタイミングで作成してしましょう。
会社の印鑑とは、具体的には「会社実印、会社銀行印、角印」のことです。
なお、会社設立の際には「代表者個人の実印」も必要になりますので、印鑑登録をしていない場合は、印鑑登録をしましょう(三文判を印鑑登録している方がいますが、そのような方は新たに作りなおしても良いかもしれません)。
③公証役場にて定款の認証を受ける
定款が完成したら、公証役場にて定款の認証を受けなければなりません。
公証役場は本店の最寄りの公証役場にします。
この段階で公証人による定款のチェックが行われるわけですが、この段階で定款に不備が見つかると認証を受けることができません。
その分だけ会社設立が遅れますので、不備がないように定款を作成するように気を付けましょう。
④資本金の払込みをする
定款の認証を受けたら、資本金の払込みをします。
なお、この段階では「会社名義の口座」はありませんので、発起人が「自分の名義の口座」に資本金ピッタリの額の払込みを行います。
この通帳のコピーを法務局に提出します。
⑤法務局へ登記申請をする
登記申請書を作成しますが、登記には会社の実印が必要になりますので、この段階までには、でき上っているように手配しておきましょう。
なお、登記申請は、本店の所在地を管轄する法務局に対して行います。
法務局が登記申請書類を受理した日が「会社の設立日」となります。
登記の完了を持って、会社が誕生します。
会社設立が終われば、会社名義の銀行口座が作れるようになりますので、会社名義の銀行口座を作っておきましょう。
また、税金(国税・地方税)関係の届出や従業員を雇用する場合には、労働保険関係の届出等さまざまな手続きがありますので、必要に応じてどんどん処理していくようにしましょう。