仕事はまずマネをさせる。自分の頭で考えさせるのはそのあと

「従業員には自分の頭で考えて行動してほしい」というのは多くの経営者が考えることです。

ですが、入社当初から「自分の頭で考える」ことを従業員に求めところで、無理というものです。

社長が、社員を雇用したとき、従業員にはじめにやらせることは、自分の頭で考えて行動させることではなく、「最短の時間で最低限の仕事ができるようにさせる」ために、自分の仕事のマネをさせることです。

従業員が、この「仕事のマネ」をしっかりとできるようになってから、社長ははじめて従業員に「自分の頭で考える」ということを求めることができます。

ちなみに、自分の頭で考えることは、本来とても面倒くさいものです。

そのため、サラリーマンの中で自分の頭で考えて仕事ができる人の割合は、せいぜい1割から2割程度だと思います。

従業員からしてみれば、自分の頭で考えて行動して、結果として失敗した場合に、その失敗を自分の責任にされるという恐怖心を持つこともあります。

したがって、従業員は、ある程度のレベルで通常業務ができるようになった後も、特に自分の頭で考えることなどせずに、はじめに教わった仕事の仕方をずっと続けているという人も多いのです。

経営者の立場からすると、従業員が、たとえ自分の頭で考えて仕事をするところまでいかなかったとしても、その従業員は、「最低限の通常業務ができる社員」ということになりますので、重宝はすると思います。
ですが、その社員を経営幹部にまで昇進させるということはないでしょう。

ちなみに、不動産業界は、転職が多い業界でもありますので、「過去に他の会社で教わった方法に固執し、転職先の自社の方法に合わせようとしない」という従業員もいます。

このような社員の場合、その社員が培ってきたノウハウをのうち、自社のために活用できそうな部分があれば、自社のために吸収させてもらい、あとは原則として自社のやり方に従ってもらえば良いでしょう。

自社のやり方に従わせる理由は、あまり好き勝手に仕事をさせると、裏で何をしだすか分からないからです。

特に不動産業界で働く人はコンプライアンス意識が低いということも問題になっていますので、社長自身が、社員を制御できない状況になるような形だけは避けなければなりません。

それに、「転職を繰り返している社員」というのは、「大した知識や経験の蓄積ができていない」ということがとても多いので、業界のキャリアは長くても、転職回数が多い人というのもあまり期待をすることができません。

結果として、経営者として大事なことは
①不動産業界での勤務経験がいない従業員でも、イチから最短で育成ができる仕組みを作っている。
②最低限の仕事ができるようになった後は、その社員に自分の頭で考えることを求めてみるが、それができない社員だったとしても、がっかりせずにその社員もしっかりと活用する。
③自分の頭で考えられる社員は、幹部社員として引き上げていく。
という一連の流れを作ることです。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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