ギリギリまで仕事をした人間でなければ、最大限のコスパは得られないという矛盾

コスパとか、タイパとか、最近よく聞きます。

私自身もコスパを追い求めている一人ですが、最近テレビなどで見聞きするコスパと、私が求めているコスパは考え方が少し違うように思えます。

ちなみに、私が求めている「コスパ」とは、仕事におけるコストパフォーマンスのことを指しています。

私の個人的な印象なので誤っているかもしれませんが、最近よく聞くコスパとは「努力したくない人が、逃げるために都合よく使っているだけ(怠けたいだけ)」のような気がしてなりません。

例えば、
「この仕事はコスパが悪いからやりたくない」とか。
「上司から指示されたことだけやって、後は何もせず、定時で帰るのが一番コスパが良い」
とか。

でも、本当の意味で高いコストパフォーマンスは、目の前のやるべきことから一切逃げずに戦い続け、長年にわたってコツコツと努力をし続けた人が、結果として得られるのもではないでしょうか。

分かりやすい例で言えば、野球の大谷翔平選手とか、ボクシングの井上尚弥選手とかがそうですよね。

一般のビジネスマンと彼らを比べるのはおこがましい話かもしれませんが、収入という面でいえば彼らのコスパはずば抜けているわけです。
普通の人が一生かかっても稼げないような収入を一年未満で稼ぎ出せる。

とてつもなく高いコスパですよね。

でも、当たり前の話ですが、彼らはコスパ重視で生きてきたわけではないわけです。

幼少のころから普通の人なら逃げだすような努力をコツコツと積み上げて、現在の状況を作っている(努力の総量が圧倒的でしょうから、逆にご自身は「コスパが悪い」と思っておられるかもしれません)。

話をもう少し身近なところに移します。

例えば、ある不動産会社のトップ営業マン(30代後半)の話です。

この人は、20代の新人営業マンと同じようなペースで仕事をしていても、どんどん契約を取ってくることができ、年収は毎年2,000万円前後になっています。

出社は時間ギリギリ、夜もほとんど残業もせずに帰社し、飲みに行ったりする。
ときどき会社を休んでゴルフに行ったりもする。
でも、普段他の営業マン達には厳しい営業部長も、このトップ営業マンには何も言いません。
それどころか褒めたりする。
成績が良いのですから、当たり前ですよね(立場上、ときどき苦言は呈しますが…)。
当然、新人営業マン達は不満を持ちますよね。このトップ営業マンのように「高いコスパで仕事がしたい」と思うでしょう。

だから、新人営業マンは、トップ営業マンの行動をマネしようとします。

自分も早く帰って…。同僚と飲みに行って…。(ゴルフはやる相手がいないので、休日に友達とフットサルをしたり…。)

ですが、当然結果はついてこない。当たり前です。初めからこの働き方で成果が出るわけがない。

そもそも、トップ営業マンは、まだ新人だったころに、昼夜を問わず仕事をする期間を2年も3年も続けて今の状況を作り上げたわけです。

そのころの年収など300万円台です。コスパで考えれば最低ですよね(最低賃金をはるかに下回っています)。

それでもいつかはトップ営業マンになりたいと思い、トップになるまで何年も、「先輩の案内の運転手を率先してやったり」「自分の仕事が終わっても帰らずに先輩の仕事の手伝いをしたり」と働き詰めの「最低コスパ」の生活を送ってきたからこそ、実力が付き、また周りからも信頼され、今の高コスパの仕事ができるようになっているのです。

新人営業マンだって、そのような話は耳にしています。営業部長も新人にさんざん話しをします。

ですが、頭から「高コスパ」を目指している新人営業マンにとっては、「数年の最低コスパ時代が耐えられない」のです。

でもどうでしょうか。
たいして能力も知識もない若者が、コスパ重視で生きたとします。

初めからコスパを重視していますので、トップ営業マンが若いころそうだったような年収300万円台の最低コスパというほどひどい状況ではなく、500万円くらい稼げるかもしれません(不動産会社も時代とともに待遇改善しますしね)。

ですが…。おそらくここで頭打ちでしょう。

また、もしこの新人が会社を辞めるとどうなるのでしょうか。

「(自称)高コスパ」という「逃げ」を繰り返してきた新人は(退職することには中堅くらいの年齢とキャリアになっているのでしょうが)、おそらく年齢とキャリアに応じたスキルを身に付けられずにいるでしょう。

結果として、転職先では年収500万円を維持することすら難しくなると思います。

そもそも「高コスパ」って狙って達成できるものなのでしょうか。

死に物狂いで仕事して年収2,000万円に到達したけれど、このままでは体を壊すことが目に見えているから、少しずつ仕事をいろいろな人に割り振っていき、結果としてコスパが高いように見える(たいした仕事をしていないのに高年収)という状況になっている。

こちらの流れの方が、圧倒的に多いのではないでしょうか。

初めからコスパ重視の人は、この場所には絶対に到達しないでしょう。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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