不動産会社に限らずですが、独立するといろいろな会合に誘われたりします。
そして、会合に参加をするつど、会場の中で「あなたの仕事は何ですか?」と聞かれることになります。
あなたは、そのようなとき、どのように答えているでしょうか?
「不動産会社を経営しています」と答えているようでは、50点というところでしょう。
なぜなら、世の中の不動産業とかかわりを持たずに生活している人にとっては「不動産会社」というのは、何をしているのか良く分からないからです。
そのため、不動産会社を経営していると言われても仕事の内容はよくは分かってもらえません。
最悪の場合、「不動産屋?なんだか胡散臭いな…」などと思われてしまう可能性すらあります。
質問をした側も結局よく分からないので、結果として「へ~、すごいですね~…」みたいな反応をして、微妙な空気の中で話を打ち切ろうとします。
また、そのような会合には、積極的にお客様となり得そうな人を紹介してくれようとする方も存在しますが、その方が「自分の仕事の中身を理解していただいてない」場合、自分の見込客とはなり得ないような方をたくさんご紹介いただくということになることもあります。
例えば、売買仲介業を専門としている会社なのに、賃貸物件をお探しの方をご紹介いただいたり、居住用物件の賃貸仲介を専門としているのに、店舗を探している方をご紹介いただくというような場合です。
また、エリアも自分の商圏とはかけ離れたエリアで物件をお探しの方をご紹介いただくこともあるでしょう。
このような方をご紹介されたとしても、紹介されたお客様候補の方も困ってしまうわけです。
ちなみに、せっかくご紹介いただいたのだからと、専門業務でもない分野で一生懸命仕事をするはとても効率が悪いので、あまりおススメはできません。
例えば、居住用の賃貸仲介しかやったことがない会社なのに、安易に店舗の仲介をすると、後々思わぬトラブルに巻き込まれるということにもなりかねないのです。
どのようなトラブルかといいますと、普段は居住用の賃貸物件のみを仲介している会社で、店舗を紹介したとします。
居住用の賃貸仲介では、用途地域などあまり気にすることはありませんから、用途地域等によって営業できる業種に制限があることに気が付かず、紹介してしまいます。
そして、その店舗でお客様が開業準備をしていたところ、行政から指摘が入り、初めてその場所で営業できないことに気づき、何千万円もの損害賠償を請求されるという事例も実際に起きています。
ちなみに、この事例の場合の仲介手数料はたったの15万円だったそうです。
こんなトラブルを起こしてしまっては、創業したばかりの会社はひとたまりもないでしょうし、お客様はもちろんのこと、せっかくお客様をご紹介いただいた方にも大変なご迷惑をかけてしまうことになります。
このようなことがありあますので、ご紹介いただいたお客様が欲しているサービスが、自分の専門分野でない場合、さらに適切な専門家を紹介するという方法が、もっとも誠実な対応なのだと思います。
ですが、商圏が比較的狭い不動産業では、都合よく適切な専門家を知っているとは限りません。
その場合、新たに自分で適切な専門家を探すとなると、かなりの時間と労力を要することとなってしまうでしょう。
このようなことを防ぐためにも、冒頭の「あなたの仕事は何ですか?」の質問のときに、しっかりと自分の仕事について回答をしておく必要があるのです。
ちなみに解答例ですが、次のようなものが思い浮かびます。
「居住用の売買物件の仲介を専門としています。商圏は主に〇〇あたりです。」
「土地所有者に対して不動産を活用した節税対策の相談に乗っています。」
「居住用の賃貸物件の仲介を専門としています。商圏は主に〇〇あたりです。」
「商業用物件の賃貸仲介を専門としています。商圏は主に〇〇あたりです。」
当然、単一業務に絞る必要はなく、できることが複数あるのであれば、自己紹介のときに複数業務を上げていただいても構いません。
ですが、単一業務の方が相手の印象に残りやすいことは間違いありませんので、特に創業間もないころは、できれば単一業務に絞り込み、その武器を徹底的に鍛え上げることを目指すべきでしょう。
そもそも、創業間もなく、お金もないころは、いろいろな業務に手を出して労働生産性を低下させるわけにはいきませんし、単一業務で経営が軌道に乗れば、自然と周辺業務の紹介や、知り合いの専門家も増えてきますので、圧倒的に労働生産性が上がります。
そのときになって、周辺業務にも取り組みたければ周辺業務にも手を広げていけば良いでしょう。