前の記事で「うまくやって得している人のタイプ」について解説しました。
そこで、今回は「うまくやって得している人」と対極にいる「頑張って仕事をしてくれる人」を話題にしたいと思います。
なお、頑張って仕事をしてくれる人とは、「通常の社員がする努力以上の努力をしてくれる人」ということになり、「うまくやって得している人」のマイナス生産の部分を努力でカバーしてくれている人たちのことです。
ちなみに、日本人はまじめで会社に忠実な人が多いので、この手のタイプは結構います。
その人たちのおかげで生き残っていけているという会社も多いのではないでしょうか。
本来、社長としては、そのような「頑張ってくれる人」に「正当な評価」をしてあげたいと思うところでしょうが、さまざまな事情により、正当な評価がなされていないというのが現実です。
結果として、「頑張ってくれる人」は、あるとき限界がきて会社を辞めていき、「うまくやっている人」は、省エネで仕事をしていますので、長く会社に居座るという不平等な事態が起こります。
このようにして、うまくやって得している人は、社歴も長くなり、ますます「うまくやっていける状況」を作ることができるようになるわけです。
でも、当然のことながら会社としては、「頑張ってくれる人」に正当な評価をする必要があるわけですが、どうしてもそうはならない事情があります。
なぜそうなるのかといいますと、社員の「自己アピール力」と「仕事の実務能力」は一致しないからです。
ちなみに、自己アピール力も高く、仕事の実務能力も高いことが「本当に仕事力がある人」だと思いますが、その両方の能力を備えている人はなかなかいません。
それもそのはずです。
自己アピール力が高く、実務能力も高い社員であれば、自分で不動産会社を設立して、経営者としてやっていけるでしょう。
そのくらい、両方の能力を兼ね備えているというのは、珍しいものなのです。
そのようなわけで、両方を兼ね備えるのは少数派なのですが、どちらかの能力を高いレベルで持っているという人は結構います。
なお、それぞれの能力のうち、自己アピール力が高い人間は、社長や経営幹部から好かれ、実力以上の出世を果たすチャンスに恵まれますが、実務能力は高いものの、自己アピール力が低い人間は、頑張って実務を処理していてもなかなか認められないということが往々にしておこります。
言うまでもなく、自己アピール力が優位の人が、うまくやっている人であり、実務能力が優位の人が、頑張ってくれる人ということになります。
ちなみに、実務能力優位の人にも問題はあります。
それは「頑張って仕事をしていれば、誰かが見てくれている」と思っている人が多いというところです。
ですが、残念ながら、「原則として他人の努力など誰も見ていない」ことがほとんどですし、仮に見ていたとしても、努力が他人から評価されるのは時間がかかるため、だいたいの人間は、評価が形になる前に潰れてしまい、退職することになります。
ですから、社長としては、初めから「頑張って仕事をしてくれる人」をできるだけ評価する仕組みを作る必要があるでしょう。
では、どうすれば頑張りを評価することができるのか。
それは、社長自身が「どのように頑張ってほしいのかの明確化」をすることが必要になります。
その明確化された指標がない状態では、社員もどこで頑張れば良いのかが分からずに、結果として要領の良い人間だけが認められるということになります。
だからこそ、社長は自分の会社を作った後、従業員の募集をする前に、どのような人に社員として働きに来てほしいのかを明確化しておき、求人広告から反映させる必要があるのです。
そして、入社後もできるだけ明確な指標を示して、まっすぐに最短距離を突っ走ってもらう。
そのようにすれば、頑張ってくれる人は上に行けるでしょうし、単に要領が良いだけの人間は、なかなか上に行くことができずに、早々に辞めていくはずです。
不動産業界は、小さな会社が乱立しているため、会社組織としての体裁が整っていない会社がほとんどです。
したがって、このような指標を用意している会社は少ないでしょう。
だからこそ、指標を用意して正当な努力を認めてあげるだけで、行き当たりばったりで従業員を育てている他社よりも、一歩先に進める可能性は格段に上がります。