この記事は、私が20代後半の頃の話です。
その頃、私は職人(溶接工)をしていました。
そして、その頃から、学生時代に全くしなかった勉強を、取戻すようにして一生懸命勉強をするようになったのです。
勉強のきっかけは、些細な出会いの積み重ねでした。
話をこの時期から少しだけ遡ぼらせると、私は中学2年生の頃、その頃から始めたスポーツで結果を残し、最終的にはその道で一生食べていこうと決意したため、学校の勉強は中学2年生で辞めてしまうという「とんでもない生徒」だったのです。
その後、結局21歳で、何の結果も出せずに前述のスポーツを辞め、中2から全く勉強もしていない状態のまま社会人になりました。
社会人になったとはいうものの、それまで一生懸命スポーツに打ち込んでいたため、辞めた直後は、何に打ち込んで良いのかも分からず、特にやりたいこともないまま、アルバイトを転々とする日々でした。
そんなときにバイト先でA先輩に出会ったのです。
そのバイトは、待ち時間が多いバイトだったのですが、待ち時間にA先輩が「この小説読んでみなよ。面白いよ。」と読み終わった小説を勧めてくれたのです。
それまで小説など、ほぼ読んだことが無く、中2以降はほとんど文字も読まない状態だったので、小説を勧められても気は乗らなかったのですが、あまりにもヒマだったので試しに読んでみました。
そしたら「ビックリするくらい面白かった」のです。
その本は大沢在昌先生の「天使の牙」という本だったのですが、これまで人生で小説などほとんど読んだことがなかった私には、衝撃的に面白くて、以後、大沢在昌先生の小説は片っ端から全部読むという行動に出ました(大沢先生の本は、今でも新刊が出ると必ず買って読んでいます)。
その当時発売されていた大沢先生の小説だけでもかなりの作品数がありましたが、それを全て読んだ後は、東野圭吾先生や北方謙三先生、村上春樹先生などの小説もほとんど全て読み、最終的には司馬遼太郎先生の小説まで読むというところまで行きました(しかも各先生方の作品のうち、特に気に入ったものについては繰り返し読んでいました)。
その頃は本当に小説にハマり、空き時間を見つけては小説を読んでいました。
そのため、当時は月12~13冊(年間150冊)程度は小説を読んでいたという感じです。
これを冒頭の溶接工の時代まで続けましたので、この溶接工の時代になるまでに、小説を1,000冊以上は読んでいることになります。
これにより、学生時代に身につけられなかった国語力を身につけることができましたし、司馬遼太郎先生の小説からは日本史の知識を身につけられ、北方謙三先生の小説からは三国志や水滸伝の知識を身につけられ、大沢在昌先生の小説からは警察組織を中心として社会の在り方に関する知識を得ることができました。
この小説で培った学力を武器に、溶接工の時代に資格試験の勉強を始めることになります。
勉強は、溶接工時代に出会ったK先輩の些細な発言からスタートすることになりました。
その日、K先輩は私に自慢げにこのような話をしてきたのです。
「俺の同級生が行政書士とかいう仕事を始めて年収1,000万円稼いでるらしいんだ。」
行政書士という資格に聞き覚えはありませんでしたが、当時20代後半だったにも関わらず、職業病ともいえる腰痛に悩まされていた私の頭の奥底に、「資格」というキーワードが強烈に入ってきたのです。
「資格取得」→「肉体労働から解放され、しかも年収1,000万円」などと無知なりの簡単な解釈がすぐに成り立ち、次のような決断をしたのです。
「よし!俺も行政書士になろう!」
そして、その日の仕事が終わった後、早速本屋に行って行政書士の資格試験の本を買いに行ったのです。
私自身、この時点で小説を1,000冊以上読んでいたので、文字を読むということに対してある程度自信を持っていましたし、何となく「受かる」というようなイメージを持つことができたのです。
そして、勉強を始めました。
結果「ぜんぜん歯が立たねぇ~!」ということになります。
しかし、ここで諦めては一生職人として腰に抱えた爆弾と付き合っていかなければなりません。
ですから、諦めずに勉強を続けました。
その結果として「宅建士」「行政書士」に何とか合格することができました。
なお、今回は、勉強を開始するまでの話を書こうと思いましたので、合格した部分についてはあっさりと書きましたが、勉強開始から合格の期間は地獄のように大変でしたし、合格~実務に生かす部分も本当に大変でした。
それらの話については、また改めて書いていこうと思います。