土地を購入して新築を建てる場合の注意事項

土地を購入して新築を建てる場合、買主が「宅建業者」の場合と「宅建業者以外」の場合で対応が異なります。

ちなみに、今回は、土地の買主は「宅建業者」であり、かつ、「土地購入後に新築を建てて売却する」ことを想定しています。

その際の注意点を列挙すると次のようになります。

①土地が更地の場合、どのような用途で使用されていたのか(建物が建っていた場合は、どのような建物だったのか)
②土地が更地の場合、そもそも「建てられない土地」だから建物が建っていないということはないか
③土地上にまだ建物がある場合、解体費用及び解体の範囲を決めているか
④上水道・下水道・ガス等の引込管と、電柱間電線が接面道路にあり、問題なく引込みができるか
⑤土地に越境物がないか
⑥土地にガラ等の埋設物がないか
⑦地盤は問題なさそうか
⑧土地に高低差がある場合、擁壁等に問題はなさそうか
⑨土地が埋蔵文化財包蔵地内に存していないか

それぞれ説明していきます。

①土地が更地の場合、どのような用途で使用されていたのか(建物が建っていた場合は、どのような建物だったのか)について

土地上に以前どのような建物が建っていたのかについては、まずは売主に確認します。
なお、売主自身も相続等により取得した土地の場合、以前土地上に存していた建物については何も知らないという可能性もあります。
その場合は、近隣住民にヒアリングをしたり、古い住宅地図を確認したりすることで判明することもあります。

なお、以前存した建物について確認することで、土地の土壌汚染の可能性等を推測することができます。
また、建物の滅失登記がなされているかについても確認をします。
滅失登記が未了の場合は、決済時までに売主の責任と負担により滅失登記を完了してもらいましょう。

②土地が更地の場合、そもそも「建てられない土地」だから建物が建っていないということはないかについて

過去に建物が建てられたことがない土地については、「そもそも建物が建てられない土地」だという可能性があります。
建物が建てられない理由はいくつかあります。
例えば「建築基準法上の接道要件を満たしていない」「敷地面積の最低限度未満の土地」「市街化調整区域内で建築の要件に属人性がある」等です。
建物が建っていない更地の状態だからこそ危険だと認識し、しっかりと役所調査を行うようにしましょう。

③土地上にまだ建物がある場合、解体費用及び解体の範囲を決めているかについて

土地上に一般的な住宅が建っている場合には、売主との間で、「解体はどうするのか(決済までに売主の責任と負担で解体するのか。決済後に買主の責任と負担で解体するのか。)」について取決めを行う必要があります。
また、売主が建物を解体をする場合には「解体の範囲(ブロック塀等の工作物はどこまで解体するのか)」等も取決めておく必要があります。

④上水道・下水道・ガス等の引込管と、電柱間電線が接面道路にあり、問題なく引込みができるかについて

・接面道路に上水・下水・ガス等の本管の敷設がない場合は、引込みに多大な費用が発生する場合がありますので、役所でしっかりと調査をする必要があります。
・接面道路に本管の敷設があったとしても、その本管が私設管の場合は、管の所有者から使用承諾書を取得する必要が生じます。
・接面道路に敷設されている上水道管の口径が細い場合には、「その管から新たに分岐することは不可」となる可能性があり、遠くに敷設されている本管から引込みを行う必要が生じる可能性があり、多大な費用がかかる可能性がありますので、注意が必要です。
・引込管が道路の深いところに敷設されていることがあり、その場合、取出しをする際に通常の工事費よりも高額の費用が発生する場合があります。埋設管の深さは、多くの場合役所で確認ができますので、気になるようでしたら、役所で調査した内容を、あらかじめ工事業者にも確認しておくべきでしょう。
・接面道路が国道等の広い道路であった場合、掘削すること自体に多大な費用が発生する場合があります。また、復旧も通常の道路よりも広い範囲での復旧を要求されることがあります。
・接面道路が4m程度の幅員の道路だったとしても、全面舗装が行われた後だと、「全面舗装後3年以内」は掘った後の復旧は通常よりも広い範囲での復旧を求められる可能性があります。
・接面道路が私道の場合、通行及び掘削等には原則として私道所有者の承諾が必要になります。
・隣地等に越境をさせることなく、土地に上・下水道、ガス等の管、及び電線等の引込みができるかを検討する必要があります。

⑤土地に越境物がないかについて

物件に越境物がある場合、その越境物の処理はどうするのかについて取決めておく必要があります。
具体的には、次のパターンのどれかになるのが一般的です。
・売主の責任と負担により、決済までに解消する。
・売主の責任と負担により、合意書を取得する。
・何もしない(決済後に買主の責任と負担により対応する)。

⑥土地にガラ等の埋設物がないかについて

土地にガラ等の埋設物がないかについては、売主に確認を行います。
ですが、売主も知らない場合があり、また、地上部分を見てガラ等の埋設物を疑わせるようなものがなければ、工事前に発見することは難しいです。
なお、ガラ等については、契約不適合責任を売主が負うのか否かという話になってきますので、買主が宅建業者である以上どのようにするのかはあらかじめ売主との間で取り決めておく必要があります。
ちなみに、売主が宅建業者であり、買主が非宅建業者の場合、売主が契約不適合責任を負わないとする取り決めは宅建業法違反となるためできません。

⑦地盤は問題なさそうかについて

土地の地盤については、現地で「地割れをしている」等の確認ができなければ、調査時点での問題の発見は難しいです。
なお、高低差がある場合も地盤に問題がある可能性を疑う必要はあるでしょうが、確定的に上げられる問題点というものは何もなく、一つひとつの物件について注意しながら確認をしていくという方法しかないでしょう。

⑧土地に高低差がある場合、擁壁等に問題はなさそうかについて

擁壁等に亀裂やはらみ等の問題がある場合は、擁壁自体のやり直しが必要になる場合があるため、あらかじめ建築士等に確認をしておく必要があります。
また、がけ条例がある場合、その内容もあらかじめ知っておかなければなりません。

⑨土地が埋蔵文化財包蔵地内に存していないかについて

物件が埋蔵文化財包蔵地内に存している場合、「発掘調査」が必要になる可能性はないかについて調査をします。
試掘調査の結果、発掘調査が必要になると、多大な費用と期間を要する可能性があります。
そのため、発掘調査になった場合のリスクを想定し、「発掘調査になると判明した場合、買主は契約を解除できる」旨の取り決めをしていくと良いでしょう。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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