今回は、不動産業で成功している社長の共通点について説明していきたいと思います。
まず前提となる話ですが、不動産はさまざまな法令等でがんじがらめであり、その不動産を商品として取り扱う業種で起業したからには、不動産に関する法令を勉強し続けなければなりません。
加えて、経営者になれば、経営の勉強はもちろんのこと、会計等についても最低限は知っておく必要があります。
また、人によっては、将来を見据えて英語くらいは身に付けたい。ITにもっと詳しくなって他社と差別化を図りたい。
そのように考える勉強家の社長もいるかもしれません。
ですが、多くの社長を見てきた結果感じることは、勉強を継続できる人はあまり多くはないということです。
いや、継続できないどころか、勉強しようと思って書籍を購入したとしても、多くの人が「やらない」か、やり始めたとしても「1週間くらいが限度」というイメージです。
継続して2年、3年と続けられる人は本当にごくわずか(1%未満)だと思います。
なお、宅建士試験程度の難易度の試験であれば、効率的に勉強をしていけば、何年も勉強をする必要ありませんので、合格することは可能です。
ですが、宅建士以上の難易度の試験になると、一年間の勉強では合格が難しくなりますので、継続して勉強できない人は目指すことも辞めた方が良いでしょう。
ただし、「継続して不動産の学習を続けられる」ことと、「会社を発展させられる」ことは、全く別の能力が必要になります。
いや、むしろ「不動産のことなど分からん。法令の勉強もしたくない」と早々に見切りをつけ、経営者になったのだから「経営の勉強だけやる」と割り切っている社長の方が、会社は発展させられる可能性は高いでしょう。
当然、経営しているのは不動産会社ですので、不動産のことが全く分からないというのは問題があります。
ですが、社長自身も独立前の会社員時代は「優秀な不動産営業マンだった」というケースがほとんどですので、そのときの経験により「何となくは分かっているが、細かいところまでは分からない」ということが多いようです。
なお、「経営の勉強」というと、すぐに「中小企業診断士」のような資格試験の勉強を始めてしまう人がいますが、このような社長は自身の経営センスを疑って見る必要がありそうです。
既に十分に稼げている社長が、あえて資格試験の勉強を始めるケースがほぼないことを考えれば、資格試験の勉強が経営に無関係だということはわかるでしょう。
ちなみに、肝心の不動産の勉強はどうするのかというと、何も対策をしないというわけではなく、社長自身は「人に任せる」ということになります。
なお、最も大事な商品である不動産に関する法令等を任せるわけですから、誰でもいいというわけではありません。
社内でもしかるべき人(社長の右腕)を育成していく必要があります。
そして、不動産法務の仕事はその人に任せていく。
このようにして自分の仕事を経営に限定することで、時間を作り、自分の仕事に自分のリソースを全集中していきます。
意図してやっているかどうかは別として、ある程度発展している会社の社長は大体このような働き方をしています。
なお、「何でも自分でやる」「不動産の勉強もどんどんやる」というような勤労意欲も知識欲も旺盛な、職人タイプの社長は「優秀」であることは間違いありません。
ですが、会社が発展しているかというと、そうでもなく、社員5人前後の組織にとどまっていることが多い印象です。
このタイプの社長は、「自分ができる」ので、仕事を教えるときに、できない人の気持ちが分からずに、苦労する傾向にあるようです。
また、結局自分で仕事を完結させられますので、「結局自分がやればなんとかなるので、この社員が退職しても問題ない」というような考えが従業員に透けて見えてしまい、社員を退職させてしまうという原因もあるように思えます。
「従業員は自分のアシスタント程度の仕事だけをしてくれれば良い。」「自分が仕事を辞めたら会社も終わり。」「従業員をたくさん雇用しても苦労が増えるだけだ。」と、自ら進んで職人的な働き方を望んでいるのであれば問題はありません。
ですが、少しでも会社を発展させたいと望んでいるのであれば、自分の職人的な働き方を少し改める必要があります。
結局、社長の右腕となる社員を育成できなければ、会社を発展させることはできないということです。