不動産業で起業するには、特別な資格は必要ありません。
なお、社長になる人は、宅地建物取引士資格は取得してほしいのですが、これも必須ではありません（最悪、宅建士を雇用すれば良いということになります）。
ちなみに、不動産業で独立開業を目指す場合、真面目な人ほど「たくさん資格を取得したがる」傾向にあります。
ですが、私の知っている限り、たくさん資格を保有している人であり、かつ、経営者としても成功しているという人はいません。
結局、不動産業で起業を目指すにあたり、宅建士資格を持っているにも関わらず、追加で資格を欲しがるという行動は、独立に対する不安の裏返の可能性が高いので、その不安を取り除くためのステップとして、資格が必要になるということなのでしょう。
なお、本来であれば、不動産業で開業する人は、宅建士資格の保有者であれば、他の資格試験の勉強などせずに、不動産の流通実務の勉強や、集客や営業、経営などの勉強をしなければなりません。
それらの勉強は、資格試験の勉強のように実務では使用しないムダな知識ではなく、不動産業で独立するにあたり、実際に必要となることに絞り込んだ勉強だということになります。
そう、独立開業を目指す人は、ムダな勉強などしている暇はないのです。
なお、資格試験をたくさん取得する過程で得られるものは、その資格の試験範囲内の情報のうち「さわりの部分」のみであり、資格試験の勉強により、雑学程度の知識が増えることはあっても、実務能力が高まることは、ほぼありません。
これは、宅建士試験で考えてみれば分かると思います。
宅建士試験の勉強をどれだけしたところで、実際の不動産流通実務の現場で役に立つことは無いということは、あなたも良くお分かりだと思います。
ですから、たとえどのような資格であっても、資格を取得した後に、それぞれの資格に関する内容ついてしっかりと実務能力を高めることで、その「資格を磨く」段階が必要になります。
その「資格を磨く」段階を経て、初めてその資格が生きてくるのであり、この段階になって初めて、資格試験のために使ったお金と時間を回収できるようになります。
ちなみに、複数資格保有者の多くが、この資格を磨くという段階を経ませんので、複数資格所有者も、結局は保有している資格のうちどれか一つの資格しか使用ないということが多いです。
つまり、複数資格を取得するために使用した時間と労力のほとんどは、ムダになっているということでもあります。
ちなみに、一番大事な「（複数資格を所有していることについて）お客様はどう思うのか」についてですが、例えば「A不動産会社の担当者よりも、B不動産会社の担当者の方が資格をたくさん持っているので、B不動産会社に仕事を依頼しよう」と考える方は、「ほぼいない」と考えていただいて間違いはありません。
実際、お客様からすれば、必要な手続きがしっかりとなされていれば良いわけですから、その過程で、相手がいくつ資格を持っているかなど問題にはなりません。
肝心のお客様が問題にしていないものを、なぜ独立開業予定者が気にする必要があるのでしょうか。
ですから、不動産業での独立開業者は、宅建士以外の他の資格試験を目指すようなことをせず、その時間を不動産業で独立し、成功するための方法に絞って勉強、実践をしていくようにしましょう。
なお、この記事のタイトルにもあるとおり、独立開業をして成功するために大事なものは、結局、知識よりも「コミュニケーション能力」です。
不動産業での独立開業予定者は、独立にあたり、資格試験の勉強に取り組むようなことは辞めて、営業の勉強等を通じてコミュニケーション能力を高める努力をしていくようにしましょう。
コミュニケーション能力をはじめとして、集客力、営業力、経営力等の知識の部分は、資格のように目に見えるものではありません。
そのため、勉強をしていても形になることはありませんので、不安になってくる気持ちは分かります。
努力が形になる資格に行きたくなる気持ちは分かりますが、資格試験の勉強に取り組むことは「経営者として、逃げの行動だ」と肝に銘じ、グッとこらえましょう。
結局、多くの資格を持っているという「だけ」の担当者よりも、お客様が求めている実務についての実績があり、かつ、コミュニケーション能力が高い担当者の方が、絶対にお客様に選ばれます。
他の独立開業予定者が、独立にびびって資格試験に一生懸命になって（逃げて）いる間に、どんどん実績を積んで差をつけてしまいましょう。
