区分所有建物(マンション等の一室)についての調査のポイントについて

今回は、区分所有建物の調査のポイントについて説明していきます。

不動産の物件調査において最重要ポイントといえば「道路」と「境界」ですが、区分所有建物(マンション等の一室)については、調査のポイントが変わります。

まず、区分所有建物の調査の流れですが、次のようになります。

①法務局関係資料を取得する。
②役所で取得できる資料がインターネット上にアップされている場合、その資料を取得する。
③管理規約、使用細則、総会議事録(直近3期分)を取得する。
④重要事項に係る調査報告書を取得する。
⑤現地調査を行う。
⑥役所調査を行う。
⑦重説・売契を作成する。

上記の流れのうち、今回は、戸建の場合と大きく異なる③④⑤について説明します。

区分所有建物の調査のうち、戸建とは異なる部分は大きく分けると次のとおりです。

①管理規約、使用細則、総会議事録(直近3期分)、管理に係る重要事項調査報告書を取得する。
②現地調査では、接道の状況や境界はざっくりと確認するにとどめ、調査対象物件の隣接住戸等へのヒアリングを戸建て以上に意識して取り組む。

①管理規約、使用細則、総会議事録(直近3期分)、管理に係る重要事項調査報告書を取得するについて
まずはマンション特有の書類である「管理規約、使用細則、総会議事録(直近3期分)」を管理組合から取得して、それらの書類を確認します。
資料の量が多く、ときどきこれらの書類をざっと見るだけで済ませるという人がいるようですが、必ず「全てしっかりと読み込む」ようにしてください。
なお、これらの書類は「どのマンションでも大体同じような内容」となっています。
そのため、何度もマンションの調査をして、資料を読み慣れてくると、早く読めるようになってきますし、特に重要な情報と、重要度が低い情報の区別がつくようになってきます。
また、総会議事録は最低でも直近3期分を用意していただきたいのですが、前期のものしか手に入らない場合もあります。

「管理に係る重要事項調査報告書」については、管理組合ではなく管理会社から取得します。
調査対象物件のマンションが管理会社と契約していない自主管理の場合、管理組合から「同様の趣旨の書類」を取得できる場合があります。
管理に係る重要事項調査報告書を取得したら、管理規約等との情報とも照らし合わせて、内容が異なっている部分がないかもよく確認し、異なる部分があれば管理組合等に問い合わせます。
この作業を行うことにより、問題を発見する可能性が高まります。
なお、管理に係る重要事項調査報告書の取得には数日を要する場合もありますので、先に物件の調査を済ませてしまっても問題はありません。

②現地調査では、接道の状況や境界はざっくりと確認するにとどめ、調査対象物件の隣接住戸等へのヒアリングを戸建て以上に意識して取り組むについて
戸建や宅地の調査の場合、道路と境界の確認から調査を開始しますが、マンションの場合は次のようなスタンスで調査をしていただいても問題になることは、ほぼないでしょう。
・道路幅員:明らかに4m以上あるようであれば、ざっくりと確認する程度で十分です。ただし、現状で調査対象物件の規模のマンションが建てられるのかや、既存不適格建築物になっていないかの確認は行います。
・接道間口:マンションの間口は十数mも接しているような場合も多いので、そのような場合は、地積測量図等に境界線の辺長の記載があれば、その数値を採用していただいても問題はないでしょう。
・境界標は無くても特に気にする必要はありません。ただし、手元の資料から、明らかに越境又は被越境が確認できる場合は、追加の調査を要します。

マンションにおける現地調査で最も重要になるポイントは、管理組合の理事長や隣接住戸等へのヒアリングです。

管理組合の理事長へのヒアリングや、実際に隣接住戸へのヒアリングを実行することにより、隣接住戸等にはどのような方が住んでいるのか確認するようにしましょう。
また、管理組合の理事長へのヒアリングは、管理規約の内容や管理に係る重要事項調査報告書に記載の内容に関する疑問点についても確認する必要があります。
特に「居住形態(事務所利用、民泊)」「ペット飼育」「楽器使用」「駐車場利用」「管理費等の滞納の有無」「管理費等の増額予定」「大規模修繕工事の予定」「リフォーム工事のときの注意点」等、見逃すとトラブルになりかねない問題がたくさんありますので、しっかりと確認するようにします。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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