重要事項説明書・売買契約書を作成する際の手順について

今回は、重要事項説明書・売買契約書を作成する際の手順について説明していきます。

まず前提として、重説・売契等の書類を作成する際は、作成手順を決めておくことが大事です。
手順を決めておくという方法は、現地調査や役所調査等の仕事全体に共通する、時短のための重要ポイントです。

今回は、私が重説・売契を作成する際の手順を説明しますので、参考にしていただければと思います。

私が重説・売契を作成する際の手順は次のとおりです。

①パソコンのデスクトップに今回作成する物件専用のフォルダを作成する
②フォルダ内に次のファイルを用意する
(1)最新の重説・売契の書式
(2)対象物件と同じ市町村で過去に作成した物件の重説・売契のファイル
(3)ワードファイル
③重説を作成する
④作成した重説をプリントアウトして内容に誤りがないかをチェックする
⑤④のチェックで見つけた誤りを修正し、重説を完成させる
⑥完成した重説をもとに売契を作成する
⑦作成した売契をプリントアウトして内容に誤りがないかをチェックする
⑧⑦で見つけた誤りをもとに重説・売契を修正する
⑨重説・売契を完成させる

詳細説明の前に、前提の話をさせていただきます。
まず、パソコンですが、ノートパソコンではなくデスクトップパソコンがおススメです。
しかもデュアルモニターにするか、できるだけ大きな画面のものを使用する方が作業効率は格段に上がります。
ノートパソコンは画面が小さいので外出先で少しだけ書類に修正を加えるために使用する等の用途に限ると良いです。
本格的な書類作成は、事務所で落ち着いて、集中して一気に作成してしまうのが最も効率が良いです。

①パソコンのデスクトップに今回作成する物件専用のフォルダを作成するについて
この項目については、説明不要だと思います。
毎回物件ごとのフォルダを作り、その中に必要な書類を格納していくと間違いが発生しにくくなります。

②フォルダ内に次のファイルを用意する
(1)最新の重説・売契の書式を用意するについて
書類作成をするときに、過去に作成した重説・売契を修正して新しい物件のものを作成するという方がいるようですが、絶対にやめてください。
不動産業では関連する法律の改正が頻繁に起こります。
過去に作成した書類を使いまわしていると法改正に対応しない重説・売契で作成することになるミスに繋がります。

(2)対象物件と同じ市町村内で過去に作成した物件の重説・売契のファイルを用意するについて
対象物件と同じ市町村で過去に作成した重説・売契を用意します。
(1)の説明と矛盾するように思われるかもしれませんが、当然すべてを使いまわすわけではありません。
(1)の書類のうち、その市町村に制定されている関連条例の文言を使いまわしていきます。
なお、条例については、定期的に内容に変更がないかの確認をしておくことも重要です。

(3)ワードファイルを用意するについて
ワードのファイルを用意しておきます。
ワードのファイルは、重説の「その他重要な事項」や売契の「特約」等の作成の際に使用します。
ワードで作成する理由は、エクセルと比べて見やすいからです。
見やすい分だけ、記載の誤りを発見できる可能性が高まります。

③重説を作成するについて
まずは重説を作成していきます。
この時点で目指すことは、できるだけ早く重説を入力するということです。
もちろん誤字脱字には気を付けていきますが、ここではスピードを重視してに入力していきます。
書類作成の作業時間はここで短縮します。

④作成した重説をプリントアウトして内容に誤りがないかをチェックするについて
作成した重説をプリントアウトしてチェックしていきます。
自分が作成した書類は、どうしてもチェックが甘くなりがちになりますので、十分に注意しましょう。
自己チェックのポイントは、自分が作成したものだと思わずに、他人が作成したものだと自分に言い聞かせながら、チェックしていくことです。

⑤④のチェックで見つけた誤りを修正し、重説を完成させるについて
④で見つけた誤りを修正します。
これにより、まずは重説だけを完成させてしまいます。

⑥完成した重説をもとに売契を作成するについて
⑤で重説が完成していますので、売契は重説のコピペで簡単に作成できます。
ポイントは、重説をコピペして売契を作成するということです。
既に重説は誤字脱字もない完璧なものができているはずですので、重説の文言のコピペで対応していきましょう。

⑦作成した売契をプリントアウトして内容に誤りがないかをチェックするについて
今度は、売契をプリントアウトして、こちらもしっかりと自己チェックしていきます。
ここでも重説と同様、他人が作成したものだと自分に言い聞かせてチェックしていきます。
重説のコピペで作成したものですので、誤字脱字もない完璧なものができているはずなのですが、不思議なことにこの売契のチェックで、重説の誤り(誤字脱字等)を発見できることがあります。
この売契チェックの時点で、一人で重説と売契のダブルチェックのような状態を作ることができ、書類の完成度を飛躍的に高めることができます。

⑧⑦で見つけた誤りをもとに重説・売契を修正するについて
⑦で見つけた誤りをもとに重説・売契を修正していきます。
ポイントは「重説→売契」の順番で修正していくことです。
また、売契の修正が終わるまでは、他のことは何も手を出さないようにしましょう。
何も手を出さないとは、電話も取らず、来客も対応しないという意味です。
修正の途中で他のことをやると、重説は修正が終わっているものの、売契は修正ができておらず、結果として、重説と売契の内容が異なってしまうというミスが起こる可能性があります。
修正など、数分で済みますので、その間だけは集中して一気に終わらせてしまいましょう。

⑨重説・売契を完成させるについて
以上で重説・売契が完成します。
これまでの作業手順を守って作成すれば、かなり精度の高い書類が作成できているはずです。
もちろんプロとして作成するものですので、一つの誤字脱字があるだけでも恥ずべきことです。
その認識をもって書類作成に取組まなくてはいけません。

重説・売契、合意書等の作成をプロに依頼することを考えている方は、次のページをご確認ください。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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