指示待ち人間はダメだといわれるが、勝手に動く人間よりかははるかにマシ

「ウチの社員は、いちいち指示を出さなければ動かない…」というのは、私が普段からお付き合いさせていただいている多くの不動産会社の社長がよくいう言葉です。

社長の悩みとして、「社員が自発的に動かない」というのは、とても多いです。

ですが、指示待ちなのであれば、まだ「マシ」だというときもあります。

世の中には「良く内容を理解していもいないのに、分かっている人に聞くこともなく、自己判断で勝手に動いてしまう」というタイプの社員もいます。

当然、うまくいくはずもありません。

勝手に動いてしまう理由はいつくか考えられますが、主に次のような理由だと思われます。

①自分ではわかっているつもりになっている。
②(上司等の)分かる人に聞けない。

①自分ではわかっているつもりになっているについて

未経験で不動産業界に入ってきて、2年から3年程度が経過し、ひととおりの実務を自分で処理できるようになってきたあたりの社員に多いです。
未経験のときは、全く何もわからない状態だったものの、少しずつ業務に慣れて自信がでてきたくらいのタイミングです。
当然、2年から3年程度不動産の営業をしたくらいで自信を持ってもらえるほど、不動産流通実務は浅くはありませんので、勘違いも甚だしいのですが、いちどはこの道を通る営業担当者は多いです。

言わば自信過剰の状態です。

この状態のまま営業活動を続ければ、そのうち仕事で大きな失敗をするでしょう。
なお、もう少し賢い社員であれば、大きな失敗をする前にこの自信過剰のレベルを突破し、上には上がいることに気づくことで、謙虚になって頑張れるようになると思いますが、何の失敗もせずにこのレベルに到達できる人は、少数派だと思います。

②(上司等の)分かる人に聞けないについて

分からなければ、分かる人に聞けばよいのですが、プライドが邪魔をして人に聞けないという人は意外と多いです。
このタイプの人は、それなりに高学歴な人か、長年不動産業界にいるが、年数に応じた実力が備わっていない人に多い印象です。

不動産業界は、一部の大手企業を除き、実力主義(営業成績)で出世をするシステムを採用している会社がほとんどです。
そのため、高卒の上司の下に、国公立大学や有名私立大学を卒業した部下がつくなどということは珍しいことではありません。
学歴に誇りを持っている人にとっては、この状況は耐え難いものなのかもしれません。
ですが、実力主義の会社だということは、実力次第で上に上がれるわけですので、そこは少しの間がまんをして、高卒上司の言うことをどんどん聞き、早くその上司を追い越せばよいのです。

こんな簡単なことなのですが、意外にこれができない人は多いです。

結果として、上司等の「分かる人」に相談することなく、勝手に仕事を進めてしまうといことが起こります。

なお、①のタイプの人は、自分の仕事に自信を持っているので、誰にも相談をせずに仕事を進めて失敗をすることになるということは前述のとおりですが、②の人は「分からないということ自体は、自分で分かっている」ので、全く誰にも相談しないというわけではありません。

では、誰に相談をしているのか。

それは「自分と同じような境遇にある人」です。
自分と同じような境遇にある人とは、この場合「仕事ができない同僚」ということになります。

結果として、「できない者同士がつるんで、相談をしあっている」という図式ができあがるわけです。

なぜ、このような図式となるのか。
おそらく「上司等の分かっている人」の意見は、仕事のできない人にとっては「厳し過ぎる」からでしょう。

(上司等の)分かっている人も、厳しいことを言いたくて言うわけではないのですが、どうしても「成果を上げられない社員に対しては、厳しい物言い」になることはあります。

仕事ができない社員というのは、おそらくそれが耐えられないのでしょう。

だからこそ、自分に厳しい意見を言わない人(自分と同じように、仕事ができない人)とつるんでしまうのだと思います。

このように「良く分かってもいないのに、勝手に動いてしまう人たち」は、社長や上司が知らないところで、勝手に動きますので本当に危険です。

ですから、私は、このような勝手な行動をする人たちよりも、指示があるまで動かない「指示待ち族」の方がはるかにマシだと思っています。

指示待ち族というのは、指示があるまで動かないわけで、余計なことをしてトラブルを招いてしまう確率というのは低いわけです。

なお、指示待ち族の中には、勤労意欲が低いから指示があるまで動かないというタイプも多いのですが、慎重な性格のためになかなか行動ができず、結果として支持待ち族に見られてしまうというタイプの人もいます。

後者のタイプの場合、時間はかかりますが、確実に成長してくれることも多いので、じっくりと教育をしていくと良いと思います。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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