そこそこ優秀だけど責任は取りたくないという社員の使い方

真面目で、言われたことをきちんと守り、仕事を覚えるのも早く、改善力もある。

こんな社員っていますよね。

当然、社長としては幹部社員として育てたいと思うのではないでしょうか。

でも、気を付けてください。

このタイプの社員には「責任を取らされることを極端に恐れる」という人がいます。

責任を取らされるというのは、何か仕事上の問題が発生した場合に、自分のせいにされるということです。

でも、これって「管理職だったら当たり前」ですよね。
部下の責任を上司(管理職)が取らされる。
管理職ってそんなものです。

これを恐れていては、管理職は務まりません。

つまり、この社員は「これ以上、先のポジションには進めない」ということになってしまいます。

でも、この社員も優秀であることには違いは無いのです。
それこそ、中途半端に管理職をやっているような社員よりも、能力的にははるかに優秀で、仕事もしっかりとしてくれます。

だからこそ、このような社員には十分に活躍して欲しい。

ちなみに、このような社員にピッタリのポジションがあります。

それは、「社長の右腕」といわれる幹部社員の「さらに右腕」として機能させることです。
つまり「右腕社員」の「さらに右腕」です。

この場合、社長の右腕社員が関与する仕事の中で、何か問題が起こったときの責任は「社長の右腕」である幹部社員が取ります。
この「右腕社員の右腕」が責任を取ることはありません。

これにより、右腕社員の右腕は、過度に失敗を恐れることなく十分にその能力を発揮してもらうことができます。

ちなみに、不動産業での「社長の右腕」の役割とは、不動産流通実務に関する調査や、重説・売契作成等の契約面を取り仕切ることができる人材のことです。

この社員の「さらに右腕」となるからには、この社員にもそれなりに成長してもらわなければなりません。
ですが、このタイプの社員は少しくらい厳しく指導しても耐えられるということが多いですし、少しくらい忙しいポジションでも耐えられることが多いです。

むしろ、ヒマな仕事で、自分の能力が十分に生かせない環境になると、退職を考えてしまうこともあります。

また、このタイプの社員は、新入社員に基本的な仕事を教えることも上手だったりします。

そのため、不動産調査や契約書作成の実務についての指導係としても活躍できることが多いです。
その点、社長の右腕と呼ばれる幹部社員が新人を直接指導すると、その指導が厳し過ぎて新人が耐えられないということもありますので、この「右腕社員の右腕」がいると重宝します。

と、今までいいことばかり書いてきましたが、当然いいことばかりではありません。

このタイプの弱点。
それは「非常事態に弱い」ということです。

そう、このタイプの社員は「繰返しの作業」にはめっぽう強いのですが、連続して判断が求められるような「非常事態」には、ほとんど機能しなくなります。

例えば、会社が「社長の右腕が突然倒れた(再起可能か否かも分からない)」という「非常事態」に遭遇するとします。

このような非常事態が発生したときは、社長の右腕が再起できないという最悪の可能性を考えて素早く対処していく必要がありますが、このような場面では「右腕の右腕は機能しません。」

そう、右腕の右腕は、右腕がいるから機能するのであって、右腕がいなくなると、途端に機能しなくなります。
このような場面では、右腕の右腕が取る行動は、自分の上司である社長の右腕が返ってくることを想定して、「今までどおりの仕事を続ける」ということがほとんどです。
この対処方法では、「右腕である幹部社員が再起不能」だと判明したときから初めて対策を講じることになりますので、対処が後手に回り、最悪の場合、収取がつかなくなる可能性があります。

ですから、このような非常事態が発生したときは、この「右腕社員の右腕」に任せることなく社長が自ら積極的に前に出て、この「右腕社員の右腕」に直接指示を出す必要があります。

そして、新たに「社長の右腕」を作ってあげれば、新たな社長の右腕の下で「右腕の右腕」として、再度活躍してくれるでしょう。

当然、この「新たな社長の右腕」は、不動産調査の実務や重説・売契の作成等の「実務」については「右腕社員の右腕に劣る」はずです。

ですが、右腕の右腕社員からすると、新たな上司が自分よりも実務ができないというようなことは「どうでも良い」のです。

結局、自分が責任を取りたくないから上司が欲しいだけですので、自分より実務ができないことが、問題になることはないはずです。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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