接面道路が私道の場合の対処方法について

接面道路が「私道」であることを確認するためには、調査対象物件の接面道路の所有者が、私人所有(市などの公以外)であることで確認ができます。
そのため、物件調査に入る段階では、接面道路が私道であることは判明していると思います。

なお、余談ですが、誰かに私道の件について話すとき、私道を「しどう」と言ってしまうと、「市道」と勘違いさせる可能性がありますので、私は「わたくしどう」と呼んでいます。ちなみに「市道」は「いちどう」です。

話を元に戻します。
一言で私道でといっても、種類は大きく分けると次の二通りがあります。

①建築基準法上の道路である私道
②建築基準法上の道路ではない私道

①の道路は、代表的なものは、一項二号、一項三号、一項五号、二項道路です。
当然、これらの道路の中にも公道はあります。

②の道路は、道路形状をした敷地で、いわゆる「通路」と呼ばれるものです。
きちんと舗装をされていたり、砂利道のままだったりと、形状はさまざまですが、建築基準法上の道路ではありませんので、この「通路」に接していることをもって建物を建てることはできません。

道路は、不動産の調査では、最重要項目の一つです。
ですから、調査対象物件が再建築可能か否かという最も基本的なことを確認するためにも、接面道路が建築基準法上の道路なのか否かを役所でしっかりと確認します。

なお、接面道路が私道の場合には、「私道の使用等にあたり、私道所有者の承諾が得られるか」という点についても重要になります。

たとえ私道が建築基準法上の道路であったとしても、個人の所有物である以上、勝手に使用することはできないと考えた方が良いでしょう。
まして、通行のみならず、給水管等の引込みを行う等、その私道を掘る必要がある場合はなおさら私道所有者の承諾が必要になります。

そのために、あらかじめ私道所有者から「通行・掘削等を承諾する」旨の承諾書を取得しておきましょう。
この書類は、調査対象物件の所有者が接面道路の持分を持っている場合でも取得します。

また、意外に見落とされがちなのが住宅ローンについて事前に調べておく必要があることです。
以前、私が経験したいくつかの物件で、接面道路の持分を全く持っていない場合は、住宅ローンの審査が下りないといわれたことがあります。
そのため、調査対象物件を仕入れして転売する不動産業者はあらかじめ確認しておくべきでしょう。

なお、持分がなければ、住宅ローンの審査が下りないとなる場合、接面道路の持分所有者の誰かから持分を譲ってもらうことを検討する必要が生じます。

その結果、誰も持分を譲ってもらえそうもないということであれば、仕入れを検討していた宅建業者は仕入れを諦める必要が生じるでしょう。
ですが、仕入れをした後にそのことに気づいたのではタイヘンな思いをすることになります。

リスクになることはあらかじめ確認できていることがベストです。
この前は大丈夫だったから今回も大丈夫というような安易な思い込みは捨てて、毎回必ず確認するようにしましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

目次