不動産はさまざまな法律が絡み合っているため、とにかく勉強することが多いです。
何を勉強しなければならないかというと、ざっと思いつくだけでも次のような内容になります。
「不動産実務」そのものや「宅建業法」に関する勉強はもちろんですが、不動産をスムーズに流通させるためには、「民法」、「商法・会社法」、「消費者契約法」、「犯罪収益移転防止法」等の勉強も必要になります。
しかも、法律は毎年のように改正がありますので、それらを追いかけていく必要があります。
さらに、経営者ともなれば、「経営」に関する勉強や、最低限の「会計」の知識も必要になります。
そもそも日常の仕事が忙しい中で、これらの勉強をしていくのは容易なことではありません。
とはいうものの、不動産業界で生きていくためには、勉強をやめるわけにはいきません。
そこで今回は、読書に関するテクニックについて紹介します。
読書をする際にポイントは単純で、一回で全てを理解しようとしないことです。
多くの人は、本に記載されている内容を一回で理解しようとして「初めからじっくり読む」ため、最後まで通読することすらできずに挫折してしまいます。
そもそも不動産業に関する本は法律的な内容のものが多いため、字は小さくて多めであり、本は分厚い傾向にあります。
この本を、はじめから内容を理解しながら通読していくのは困難です。
従って、一回目はできるだけ早く通読することを目指すのです。
このとき(1回目の通読時)は、本の内容を理解しようとする必要はありません。
この、ざっと読んでいく中でも「本の内容で理解できる部分もたくさんあるはず」です。
また、すでに理解できている部分の周辺知識については、改めて「なるほど!そうだったのか!」と思える部分もあるはずです。
この「なるほど!」の部分は、新たに知識として身に着く部分となります。
普段実務に触れている人の中には、ざっくりと通読するだけでも、この「なるほど!」の部分は結構出てくるでしょう。
ですが、初めからじっくりと内容を理解しようとして読んでいくと、この「なるほど!」の部分にたどり着く前に、多くの人が挫折してしまいます。
また、本の前半で書いてあった内容について、その部分を読んだときに理解できなかったとしても、本の後半に書いてある内容を読むことにより、前半で理解できなかった部分について理解できるということもあります。
このようなこともあるため、最初の一回目は「できるだけ早く通読する」ようにしましょう。
また、多くの人が、いちど通読した本を、繰り返しもう一度読むということをしません。
ですが、不動産に関する専門書は、いちど読んだだけで理解できるようなものではありません。
ですから、すぐ二回目の通読を行わなければなりません。
ちなみに、この二回目の通読の段階では、一回目で理解できなかったところを重点的に読んでも構いません。
二回目の通読は、一回目に比べて格段にスムーズに読めるようになっているはずです。
この二回目以降の通読により、知識として定着していく部分が増えていきます。
つまり、一回目の通読により「知識のベース」を作り、二回目以降の通読により「知識として定着させる」というイメージです。
なお、一回目に読んだ本を、すぐにまた読み返すということに抵抗を覚えるという人もいるかもしれません。
そのような人は、同じようなテーマを扱った他の本(宅建業法であれば、宅建業法)を読んでも構いません。
ただし、あまり時間をおかずに、一冊目の本の、二回目の通読に戻った方が良いです。
せっかく一回通読してスムーズに読める状態(知識のベース)を作ったわけですが、この段階では、まだ知識は「定着していない」わけですから、ここで定着させなければ、すぐに忘れます。
だからこそ、はやく定着させるために、二回目の通読が必要になるのです。
なお、不動産に関する本を多く読む方法でも、同じテーマで重なることは多いので、その方法で知識が定着することもあります。
その方法でも問題はないのですが、できれば一冊の本で、知識を定着させた方が効率は良いです。
ちなみに、経営者となると、最も大事な勉強は「経営」や「集客」であり、「不動産に関する勉強は、経営の勉強に劣る」とうことになります。
でも不動産会社を経営している以上、不動産の勉強をしないというわけにはいきません。
そのようなときは、不動産の勉強については、従業員(社長の右腕と呼ばれる幹部社員)に任せるという方法もあります。
ですから、不動産会社を起業して会社を大きくするという願望がある場合は、「できるだけ早く自分の右腕を作ることを考える必要がある」ということになるわけです。
不動産会社で起業したあと、いつまでも社長自身が一生懸命不動産や法律の勉強をしているようでは、会社を大きくすることはできないと思っておいた方が良いです。