知らないことを知らないと言えない人には要注意

私は仕事柄人にいろいろと指摘(指導?)をすることが多いです。

例えば、私の指摘とは「この書類のここが間違えていますよ。」とか、「今回のこの説明は、宅建業法違反になる可能性があるので、この点も確認してくださいね。」というような内容が多いです。

なお、指摘が単に書類の誤字脱字程度のレベルのものであれば大きな問題とはなりにくいのですが、宅建業法に違反するようなものであった場合は大問題です。

私からそのような重大な問題に関する指摘を受けたときに、人はおおむね次の2通りのパターンを取ります。

①「そうなんですか。知りませんでした。すぐに対処します。ありがとうございます。」
②「あー、しまった~。(本当は知らないのに)わすれてた~。」

①「そうなんですか。知りませんでした。すぐに対処します。ありがとうございます。」のタイプの人について

このタイプの反応を示す方は、問題となることは少ないです。
なぜなら、「知らなかった」と素直に言える人は、次から同様のミスをすることは少ないからです。
また、素直に知らなかったといえる人というのは、原則として勉強家で、仕事における知識量が多く、自分の仕事に自信がある人が多いです。
だからこそ、自分の知識を更に増やしてもらえるような指摘をしてくれた人に対して、素直に「ありがとうございます」というお礼の言葉を心の底から言えたりするのです。
つまり、このタイプの人は、「放っておいても自分で勝手に勉強をして、知識をつけていく人」に多いとも言えます。

②「あー、しまった~。(本当は知らないのに)わすれてた~。」のタイプの人について

本当は知らなかったにも関わらず、あたかも知っていたかのような反応を示すタイプの人ですが、このタイプの人は要注意です。
なぜなら、ミスに対する反省もなく、その場しのぎの対処をするだけなので、次回以降も同様のミスを起こす可能性が高いためです。
また、実は知っていたというアピールをする人は、「何となく聞いたことがある」というような知識とも呼べない過去の経験(指摘?)を「あたかも知っているものとして反応」していることが多いのですが、この過去の経験(指摘?)だって、今回の指摘とは全く関係がない、的外れの記憶かもしれませんので、正直何の役にも立ちません。
つまり、指摘を受けた本人が、受けた指摘を真摯に受け止め、自分の中に知識として定着させる作業をどこかのタイミングで行わない限りは、「何の役にも立たないゴミのような情報」だけが自分の中に蓄積されていくのです。
「何の役にも立たないゴミのような情報」は、文字通り何の役にも立ちませんので、いくら蓄積されていても有効な知識として使用できるようになりません。

なお、もし仮にこのように反応するタイプの人が「知識としては持っていたけれど、本当に忘れていただけ」だったとしても、「そもそも宅建業法違反になるような重大な問題を忘れてしまっていた」ということ自体に重大な問題があります。
ですから、やはりその人をプロとして信用するわけにはいかないという結論に至るでしょう。

ちなみに、このタイプの人は、営業一筋10年とか20年という人だったり、調査・契約部署の人間だったとしても2年から3年程度のキャリアしかない、中途半端な知識を持った人に多いため、なかなか厄介です。

なぜこのような人が厄介になるのかといいますと、このタイプの人は、「何の問題も起きない通常の仕事」については全く支障なくできるため、「自分は仕事ができる」と思い込み、プライドだけ高くなっていることが多いため、他人の指摘を素直に聞けなくなってしまうからです。

また、このタイプの人は、自ら進んで勉強をするということもしません。
そのため「不動産に関して勉強すべきことはまだまだあり、世の中には上には上がいる」ということに気づきにくいのです。

このタイプの人が素直に人の意見を聞くようになるには、自ら進んで勉強するようになる必要があるのですが、勉強は強制できませんので、やはり本人次第ということになるでしょう。

ですから、経営者や上司の立場としては、このタイプの人は、どうしても「①のタイプの人の下(部下)」というポジションしか与えることはできないことが多いです。

ちなみに、「忘れていた…」という反応が上辺だけのものでなく、本当に反省している態度である場合は、本当に何らかの理由によりモレていたという可能性も考えられます。
人間ですので、どんなに一生懸命勉強して得た知識であっても、忘れたりモレたりすることはあります。
その場合、その人の人間性というよりも仕事の仕方に問題があるだけですので、チェックリストを作成して使用する等、忘れないための対策を取ることによって、ミスをゼロにすることも可能でしょう。
このタイプの人は、事実上①のタイプに人になりますので、チェックリストを使用する等の対策についても、自分で考えて、勝手にやり始めるはずです。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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