社長が思う理想の社員像について社員は理解していますか?

社長と社員では仕事に対する意識が全く違います。

そのため、社長から見ると社員がふがいなく感じることもしばしばでしょう。

社長自身は、独立前の従業員時代、将来自分で不動産会社を経営することを目標にし、他の社員よりも優秀な成績を収めてきた人が多いです。

つまり、従業員時代から「経営者目線」で仕事をしてきた人が多いということになります。

この意識の差こそが「社長」と「社員」の明確な違いです。

ですが、不動産業界で仕事をしている人のすべてが、将来、自分で不動産会社を経営したいと考えているかというとそうではありません。

実際に、経営者になるというよりも「従業員として会社勤めをした方が良いパフォーマンスを出せる」という人も、世の中にはたくさんいます。

このような従業員タイプの「優秀な人」は、社長にとってはとても助かる従業員ということになります。
ただし、このような従業員は、優秀であるがゆえに、なかなか会社に長く在籍してもらうということは難しく、数年で転職してしまうということも多いです。

つまり、社長としては、前述のような、もともと優秀な人を自社の戦力として当てにするのではなく、可でも不可でもない普通の能力を持つ人を一人前に育てなければならないわけです。

ただし、可でも不可でもない社員は、冒頭の話にあるように、社長とは仕事に対する意識に大きな違いが生じますので、仕事の教育にあたって、社長は何度も従業員を叱らなければならない場面に遭遇します。

この「叱る」ということに関しても、社長と従業員では大きな認識の差が生じます。

認識の差とは、従業員の立場では、単に「叱られるのがツライ」としか思っていません。
ですが、実は叱られる側よりも、「毎回叱らなければならない人の方が何倍もエネルギーを使う」ということを知らない従業員の方が多いのです。

そう「叱るってタイヘン」なのです。

その叱るというストレスに耐えられず、「自分は人を育てるのに向いていない。やっぱり一人で気楽に不動産会社を経営していこう」という考えに至る社長もいます。

ちなみに、一人で気楽に不動産会社をやっていこうと決意した社長の中にも、もともとは「自分で作った不動産会社を大きくしたい」という目標を持っていたという人も多いです。
そのような人は、現状がツラくて「一人で気楽にやっていこう」と思ったとしても、その後数年が経過して心の傷が癒えてくると、再び「自社を大きくしたい」と考えるようになり、方向性がブレてしまう社長もいます。

なお、私の場合ですが、私自身も常時20名前後の部下を抱えているときに、「何度も叱る」ということがストレスになっていたため、次のような資料を作っていました。

①従業員に、とってほしい行動をまとめておいて、一日一回確認させる
②従業員に、将来何ができるようになってほしいのかをまとめておく

①従業員に、とってほしい行動をまとめておいて、一日一回確認させるについて

これは、リッツカールトンホテルで有名な「クレド」のやり方を応用させていたただいたものです。
ただし、記載する内容は、「社長が日々仕事をしていて注意したくなるようなこと」をまとめていきます。
例えば「電話は3コール以内に出る」とか「営業から帰ってきたら、まず営業の内容を社長に報告する」といった感じです。
はじめはあまり書くネタが思いつかないかもしれませんが、やり始めるとすぐに20個程度のネタは出てきます。

また、作っただけでは従業員は、見ることはありませんので、朝礼をやっている会社であれば、朝礼のときに時間を取って確認をさせるのも良いでしょう。
これをやるだけで、社長が従業員を叱る回収は激減します。

②従業員に、何ができるようになってほしいのかをまとめておくについて

従業員に向けて「将来的にどうなってほしいのか」をまとめた資料を作っておきます。
これは、例えば「レベルを1から10」に分けて、「レベル1を平社員、レベル10を部長」のようにして、平社員から部長までのスキルマップを作ることも有効です。

社長としては、従業員の成長の段階として、まずは「実務を覚えて仕事で独り立ちできる」というところから、「後輩や部下を育てる段階」を経て、最終的には「経営者目線で仕事ができる幹部社員」になってもらうという感じでステップアップしてもらいたいのが一般的だと思います。

その過程を10段階に落とし込むのです。

なお、10段階は「実務面と人材育成面」に分けると、資料がスッキリして作りやすくなります。

ちなみに、従業員というのは「自分一人で案内から契約、決済までできるようになった」というだけで「一人前になった」と調子に乗り始めたりします。
この書類は、そのような従業員が、安易に調子に乗るのを防ぐという効果も期待できます。

「自分一人で決済までできるようになる」という段階は、例えば「レベル3」くらいだとあらかじめ記載してある資料があれば、自分の立ち位置と社長が求める従業員の姿のギャップを埋めることができます。

これらのツールを効果的に使って、従業員に最短で成長してもらうことにより、いずれ「社長の右腕」となる人材が育つ日が来ます。

社長の右腕と呼ばれる幹部社員が育てば、その会社は大きく成長する可能性が飛躍的に高まります。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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