【重説・売契】売主が契約に代理人を立てる場合の注意点と重説等の署名欄の記載

売主が売買契約に代理人を立てる場合の注意点と、重説・売契の署名欄の記載方法について説明します。
まず、いちばん一般的な任意代理の場合の注意点です。

不動産会社は代理人の言うことを鵜吞みにせず、必ず自分の目でしかるべき書類を確認しながら本人確認を行なう必要があります。

・任意代理人の場合
任意代理の場合は「代理人に契約を代理する権限があるか」についてよく確認すること。これを徹底することです。
当たり前のように聞こえるでしょうが、意外とできていない人が多いと感じます。
確認の方法としては、まず「売主本人の印鑑証明書付きの委任状」を確認することに加えて「売主本人の確認」と「売主の売却意思」も確認する必要があります。
この場合の確認は、できるだけ対面で行うようにします(対面でないと確認の制度が著しく低下します)。
本人の実印や印鑑証明は、親族であれば取得することはそれほど難しくない場合が多いので、特に重要な資産である不動産においては、委任状に加えて、直接売主本人からの意思確認が必要になるということです。

【任意代理のときの署名欄の記載】
売主 住所 東京都千代田区〇〇
氏名 不動産 太郎
不動産太郎代理人
住所 神奈川県横浜市西区〇〇
氏名 不動産 次郎 ㊞

【共有不動産で、一方が他方の代理人となるときの署名欄の記載】
売主 住所 東京都千代田区〇〇
氏名 不動産 太郎 ㊞
住所 東京都千代田区〇〇
氏名 不動産 花子
不動産花子代理人
住所 東京都千代田区〇〇
氏名 不動産 太郎 ㊞

・法定代理(売主が未成年)の場合
未成年者は、法定代理人の同意を得ないで売買契約等の法律行為をすることができず、同意を得ないでした法律行為は、取り消すことができます。
なお、未成年者が不動産の所有者となる場合には、親権者(両親)が法定代理人となり、両親が離婚している場合やどちらか一方が死亡等のときは、他の一方が法定代理人となります。
売主が未成年者の場合は、誰が親権者であるかを確認する必要があるため、代理人である親に戸籍謄本を取得してもらい、確認をする必要があります。

【未成年者の親権者が法定代理人となる場合】
売主 住所 東京都千代田区〇〇
氏名 不動産 子太郎
不動産太郎法定代理人
住所 東京都千代田区〇〇
親権者 父 不動産 父太郎 ㊞
親権者 母 不動産 母子 ㊞

・法定代理人(売主が成年被後見人)の場合
不動産の売買等の法律行為を行うことは、成年被後見人にはできません。
そのため、法定代理人である成年後見人が代理して契約を締結することになります。
なお、成年被後見人が単独で売買契約したときは、取消の対象となります。
また、成年被後見人の自宅等の売買の場合は、家庭裁判所の許可を得なければならず、許可を得ないでした売却は無効となります。
売主が成年被後見人である場合の確認方法は、後見登記事項証明書によって行います。
この書類は法務局で取得します。

【成年後見人が売主となる場合】
売主 住所 東京都千代田区〇〇
氏名 不動産 太郎
不動産太郎成年後見人
東京都千代田区〇〇
不動産 花子 ㊞

被保佐人が不動産の売買をするには保佐人の同意が必要であり、代理権付与の審判により、保佐人が一定の法律行為について代理権を得ることができます。
そのため、保佐人が被保佐人の代理人だという場合には、あらかじめ保佐人に代理権があることを確認する必要があります。
また、売主が被補助人の場合は、原則として自分で法律行為を行うことができますが、家庭裁判所が補助人の同意を要するとした法律行為に不動産の売買等が含まれている場合には、補助人の同意が必要となります。
なお、補助人の代理権については、保佐人と同様にあらかじめ確認が必要になります。

・破産管財人が売主になる場合
破産管財人(通常は弁護士)が売主となるときは、裁判所が発行する破産管財人資格証明書を確認する必要があります。
なお、破産した当事者に代わって破産管財人が任意売却をする場合には裁判所の許可が必要となるため、任意売却にかかる裁判所の許可書の確認をする必要があります。

【破産管財人が売主となる場合】
破産者□□□□破産管財人
売主 住所 東京都千代田区〇〇
氏名 弁護士 不動産 太郎 ㊞

・遺言執行者が売主の場合
遺言に「遺言執行者が不動産を売却して売却代金を遺贈する」等の遺言の内容(清算型遺贈)がある場合は、遺言執行者が売主になります。

【遺言執行者が売主となる場合】
売主 遺言者亡□□□□ 遺言執行者 △△司法書士事務所 司法書士
東京都千代田区〇〇
不動産 太郎 ㊞

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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