敷地内に電柱がある場合の調査の注意点について

調査対象物件の敷地内に電柱がある場合、又は何らかの理由により電柱について問い合わせをしたい場合は、電柱に貼付されてあるプレートを確認します。
そのプレートには、電柱番号とその電柱の所有者(電力会社、NTT等)の記載があります。
なお、電力会社やNTT等の両方のプレートが貼付されている場合は、一番上に貼られているプレートがその電柱の所有者になりますので、そちらに連絡します。

いつでも問い合わせができるように、調査の際は、必ず電柱に貼付してあるプレートをデジカメで撮影しておく等により確認できるようにしておきましょう。

上記をふまえた上で、調査対象物件の敷地内に電柱がある場合は、次の点の確認をします。

①電柱の敷地使用料が発生しているか。
②隣接地上建物等への引込線の越境がないか。

①電柱の敷地使用料が発生しているかについて
民有地内に電柱が設置される場合、電柱を設置した会社(電力会社、NTT等)は、その土地の所有者に敷地使用料の支払いを行っていることがほとんどです。
敷地使用料は、宅地であれば1本につき1,500円であり、電柱と視線が1本ずつ設置されている場合は合計で3,000円となりますが、最初から「今回も同じ金額だろう」と決めつけず、毎回電柱を設置している会社に確認をします。

また、位置指定道路等の私道や、通路等の共有地に電柱が設置されている場合、敷地使用料は共有地の代表者に一括して支払いを行っている場合もあります。
その場合は、必要に応じてその代表者に電柱の敷地使用料に関する取り決め等(位置指定道路の維持管理に使うために貯めている。共有者に平等に分配している等)がないかの確認を行います。

なお、電柱らしきものが敷地内にあるにもかかわらず、敷地使用料の発生がない場合は、その家に引込みを行うためだけに設置されているものである可能性が高いです。
念のため、そうであるのか否かを確認するようにしましょう。

不動産取引を行う場合、電柱の敷地使用料を所有者が受け取っているのであれば、清算の対象となるとも考えられます。
最終的には売主と買主の間での取り決めとなりますが、額が少額であることもあり、清算の対象とはしないと取り決めても問題はないように思います。

②隣接地上建物等への引込線の越境がないかについて
敷地内に電柱が設置されている場合、隣接地上建物等への引込線が、調査対象物件の上空を通過(越境)している可能性が高いです。
越境されている場合(越境している場合も同様)は、その対処方法について検討する必要があります。
通常の越境のように解消を求めたり、将来建物の改築等の際に解消してもらう(その旨の合意書を取り交わす)という対処方法をとることも可能ですが、電柱の敷地使用料を受け取っている以上、当然にこのような越境が発生するということは想定されるとして、越境を容認するという考え方もあります。

また、敷地に電柱が設置されている場合、電柱間の電線が越境していることが多々あります。
この越境は解消という対象方法はあまり現実的とは言えませんが、越境があるという事実は見逃さないように注意が必要です。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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