トラブルを防ぐ不動産調査のポイント

不動産業界で働いている人の中には、重要事項説明書のひな形の空欄部分を埋めてさえいれば良いと思っている人がいるようで驚かされます。

重要事項説明書は、説明をしなければならない必要最低限の項目について記載されているものであって、ひな形の空欄部分を埋めるだけでは、十分な内容とはならないことが多いです。

さらに悪いパターンは、重要事項説明書に自ら記載した内容を間違えるということがあります。

不動産業界では、重要事項説明書は、加入している団体が提供しているフォーマットや自社で独自に作成しているフォーマットを使用している会社がほとんどであり、重説のひな形の中には「適用有り、適用無し」を選択するだけで説明義務を果たせるという項目も多いです。

この選択で間違えるということがあります。

また「調査の段階でミスをする」ということもあります。

このようなミスは、営業担当者自身が調査しているパターンが多く、ミスの原因は知識不足によることがほとんどです。

そもそも営業担当者の中には、日常的に不動産の勉強をしている人は少数派です。
その上「契約したい」という気持ちが強すぎるため、調査が雑になりがちです。

役所調査では、窓口で「具体的で的確な質問」をしなければ、窓口担当者から「欲しい情報」を得ることはできないのが基本です。
ですが、そもそも知識がないため、具体的で的確な質問をすることができません。

そのため、表面的な調査で終わってしまうことがほとんどです。

最後に、トラブルを防ぐという観点から、とても重要な調査について説明しておきます。

それは「ヒアリング」です。

とにかく「人の話を目的意識を持ってよく聞くこと」です。

まずは「所有者(売主)」に調査対象物件について、よく内容を聞かなければなりません。

これは、単に所有者(売主)から、雑談的に話を聞かなければならないというわけではありません。
しっかりと所有者(売主)から「売却する不動産について問題となりそうな部分について、具体的に質問をしていく」ということが重要です。

ということは、物件の中で問題になりそうなところはどの部分なのか、日ごろからよく勉強しておかなければいけません。

また、ヒアリングとは、所有者(売主)にのみしなければならないというものではなく、場合によっては、隣接地や近隣住民、自治会長等にもヒアリングをすることが求められます。
ただし、個人情報との兼ね合いもありますので、所有者(売主)以外にヒアリングする際は、必ず所有者の承諾を得て行う必要があります。

そして、隣接地所有者等へのヒアリングの際は、所有者の時と同様に「隣接地には何を聞かなければならないのか」について、あらかじめ知っておかなければいけません。

なお、隣接地以外の近隣住民の方や自治会長等については、必ずヒアリングをしなければならないというわけではありません。
調査の過程で質問をする必要が生じたときにヒアリングをしに行けば良いでしょう。

ただし、自治会長については、やはり地域のことをよく知っているので、必ずヒアリングをすると決めてしまっても良いと思います。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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