合意書を作成する際の注意点について

合意書を作成する際の注意点について説明していきます。

合意書は、主に、調査対象物件に越境があった際に、すぐにその越境を解消することができない場合に、「将来その越境物の解体等の際に、越境を解消する」旨の取り決めを行う場面で登場します。

合意書で取り決める内容は、主に次のとおりです。

①越境物があることの確認をする。
②費用等が発生する場合は、費用についての取り決めをする。
③越境解消の時期と方法等について取り決める。
④物件の所有者に変更がある場合、新所有者に合意書を承継する旨を記載をする。

①「越境物があることの確認をする」について
まずは越境物について特定をし、その越境物の存在をお互いに確認する内容を入れます。
越境物があることの確認を行うことは、越境物による土地の時効取得を防ぐことになりますし、これが越境物がある際に合意書を作成するための大きな理由の一つでもあります。

②「費用等が発生する場合は、費用についての取り決めをする」について
越境があるということは、他人の土地を勝手に使用している状態ですので、費用を発生させる場合は、その費用について取り決めをしなければいけません。
なお、費用は発生させないという場合も多いです。
その場合はでも、費用は発生しない旨の取り決めは行います。

③越境解消の時期と方法等について取り決めるについて
すぐに越境を解消できないからこそ合意書を作成しているわけですので、どのタイミングで越境を解消させるのかについて取り決めをしていく必要があります。
例を挙げるとすると、次のような感じです。

・雨樋が越境している:建物の解体、改築の際に越境を解消
・コンクリートブロック塀が越境している:コンクリートブロック塀の解体、再設置の際、又は建物の解体、改築の際に越境を解消
・引込線が越境している:引込線の撤去、引込み直しの際、又は建物の解体、改築の際に越境を解消
・引込管が越境している:引込管の引込み直しの際、又は建物の解体、改築等の際に越境している引込管の使用を中止し、その引込管の所有権を放棄する。

上記は一例であり、毎回このようになるわけではありません。
合意書を作成するときに大事なことは、現在の越境物の状況を正確に把握し、将来、どのようなタイミングで越境を解消させるのかを案件ごとにしっかりと考えて、書面化することです。

④「物件の所有者に変更がある場合、新所有者に合意書を承継する旨を記載をする」について
越境の合意書を取り交わしたとしても、その書面を当事者間のみの取り決めとしていた場合、不動産の所有者が変わってしまっては、再度、新所有者との間で越境物に関する取り決めをやり直さなければならなくなってしまいます。
そのため、合意書の最後には、「将来、不動産の所有権を譲渡等する際は、その譲受人に対して、この合意書を承継させる」旨の取り決めをしておきます。

以上が、越境物があった際の合意書作成のポイントですが、合意書は毎回同じ文言の書類を使いまわせるほど簡単な書類ではありません。
毎回必ず、越境の内容を正確に把握し、その越境に合った内容で書面化していくように考えながら作成していきましょう。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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