中古の住宅の調査において、現地調査時に汚水桝、雑排水桝、雨水桝等を開けて内部を確認します。
ちなみに、このようなことまで、物件調査で行っている人(会社)は、あまりいないかもしれません。
今回は、「桝を開けて内部を確認することの効果」について説明します。
まず、桝を開けて内部を確認する理由は次のとおりです。
①内部に破損等がないかを確認する
②越境がないかを確認する
③雨水が汚水・雑排水の桝に接続されていないかを確認する
①内部に破損等がないかを確認するについて
現地調査の際に、桝が埋まっていることがあります。
その際は、建物うち水回り集中している側の地面を、バール等で突いていくと、桝を発見できる可能性が高いです。
また、すでに発見できている桝の水が流れる先を確認することで、桝の場所を予測し、発見できることがあります。
桝が発見できましたら、バールやマイナスドライバー等の道具を駆使して、桝を開け、内部に異常がないかを確認をします。
異常とは具体的には次のようなものをいいます。
・汚水の滞留がないか。
・内部に木の根等が繁茂していないか。
・コンクリート桝ではないか。
まず汚水の滞留ですが、あまりにひどい滞留がある場合は、宅内の排水管の勾配不良が発生している可能性があります。
また、植栽の根が内部に繁茂している可能性で滞留が発生している可能性もあります。
植栽の根については、排水管のつなぎ目から侵入する場合もありますが、、排水管等に亀裂が入っていて、そこから侵入する場合もあります。
いずれにしても、桝の内部で繁茂しているということは、そのうち排水管が詰まることが予想されますので、何らかの対策を講じる必要があります。
ちなみに、現在は桝や排水管は塩化ビニル製のものが使用されていますが、古い家になるとコンクリート製の桝ということもあります。
コンクリート製の桝の場合、老朽化等によりヒビが入ったり、割れたりすることがありますので、注意が必要です。
割れたりすることにより、そこから植栽の根等の侵入が発生し、詰まりの原因となります。
②越境がないかを確認するについて
桝の内部を開けることにより「地下越境」を発見できることがあります。
どのような越境かというと、「隣接地の排水管が、調査対象物件の桝に接続されている」ような場合と、その逆、つまり「調査対象物件の排水管が、隣接地の桝に接続されているような場合」です。
越境を発見したら、調査対象物件の所有者と隣接地の所有者に話を聞き、適切に対処をしましょう。
ちなみに、この場合の適切な対処とは次のとおりです。
・越境を解消する。
・将来、家の建替え等の際に越境を解消する旨の合意書を取り交わす。
このどちらかの対処方法が一般的です。
越境の解消とは、原則として「越境している部分の管を撤去する」ということになります。
ですが、管を撤去することにより、例えば、管の上に存する工作物等に影響が出たり、現状それほど邪魔になっていないのであれば、「配管を何らかの方法で塞ぐことのみとし、排管の撤去までは行なわず、現状のままとする」という対処方法でも問題はないでしょう。
ちなみに、越境については、「越境が発生したときの状況」も、解決のための重要な情報になります。
調査対象物件の所有者や、隣接地所有者に越境発生時の状況や、現在の使用状況等についてヒアリングした上で解決方法を探っていく必要があります。
③雨水が汚水・雑排水の桝に接続されていないかを確認するについて
調査対象物件が分流式の区域に存しているにもかかわらず、宅内で「汚水・雑排水」と「雨水」が合流していることがあります。
これを発見したら調査対象物件の所有者に対処を促しましょう。
なお、合流していることは、ただ単に桝を開けて中を見ただけでは見つけることはできません。
発見のためにはどうすればいいかというと「それぞれの桝から水を流し」その流れを観察することにより確認することが可能です。
そのためには、調査道具として、ポリタンクを用意し、調査前に水を満水にしておく必要があります。
また、それぞれの桝から水を流しますので、雨水が道路側溝に流れていることも確認ができます。
実際に雨水排水管が道路側溝に接続されていることが目視できれば、雨水の放流先については完璧です。
なお、雨水排水管が側溝に接続されていることで「道路占用許可」が必要になるという行政もありますので、役所で確認すると良いです。
