【不動産業開業】全体の流れ

この記事は、不動産業(宅建業)で開業したい人に向けて、不動産会社を設立するための流れについて説明した記事です。

不動産業を開業するためには、全体の流れを把握し、同時並行的に進めていくのが重要です。

不動産業で開業するための全体の流れは次のとおりです。

①開業のための計画を練る。
②創業融資の打診をする。
③事務所を借りる。
④会社を設立する。
⑤宅建免許を取得する。
⑥保証協会に加入する。
⑦宅建業の免許証を受け取る。

具体的に不動産会社の開業に動き出すのは、③からですが、③から先の手続きをどれだけスムーズに行ったとしても最低でも3か月程度の期間を要します。
また、事務所選びに手間取ったり、各種申請等の段階でも不備があったりした場合には、更に開業が遅れることになります。
不動産業を開業する際には、開業までの全体像を把握して準備をすることが大切です。

①開業のための計画を練る
独立開業前に不動産会社で営業として勤務している人であれば、開業後の自分の姿は容易に想像がつくと思います。
なお、念のため「自分が宅建免許申請を受けられるのか(欠格事由に該当しないか)」について、この時点で確認しておくと良いでしょう(この時点で欠格事由に該当する場合は、いつであれば該当しなくなるのかについても確認しておきましょう)。
また、不動産業開業にあたり、もう一つ大事なものは「お金」です。
普段会社員をしていると、お金(経費)についてそれほど意識することはないかもしれませんが、独立して全てが自分の支払いになると、どんどん預金口座からお金が減っていく状況に驚かれる方も多いです。
したがって、この段階から、開業を見越してできるだけ「預金」を作っておきましょう。
預金は、最低でも「200万円から300万円程度」は作る必要があります。
なお、預金は毎月「自力でコツコツ」積み上げてください。
当然金額は多いに越したことはありませんが、「最低でも」200万円を目指して、月割りして預金していってください。
この「コツコツ預金をする」ことにより、節約する感覚が身に付くため、開業後も無駄遣いを減らすことにつながります。

②創業融資の打診をする
不動産業の開業を見越して、コツコツ作った預金を使用して、創業融資を申し込みます。
預金を「最低200万円」作るようにと説明しましたが、正直申し上げて不動産業の開業には200万円では足りません。
しかしながら「200万円の預金をコツコツ積み上げた実績」と「不動産業における経験等」があれば、創業融資を利用できる可能性が高まります。
なお、500万円以上の預金があり、融資は必要ないと思うような方でも、お金はいくらあっても困ることはありませんし、借りたお金をきちんと返済をすることで「融資を受けて、返済した」という実績を新たに作ることができますので、融資は前向きに検討すると良いと思います。

③事務所を借りる
不動産業を開業するためには、宅建免許を取得する必要がありますが、宅建免許を取得するためには、事務所が必要になります。
事務所ですが、飛び込みのお客様を求めるのであれば、できるだけ目立つ場所に店舗を構える必要があります。
ただし、特にそのような集客方法を取らないのであれば、マンションの一室のような場所を事務所とする方法もあります。
なお、前者の店舗型の開業ですが、よほど集客に自信がある場合を除いて、お勧めはできません。
開業当初はできるだけ固定費を抑えるのがベターです。
事務所を借りる際の注意点としては、「宅建免許の要件を満たす事務所であるか否か」という点と「その場所で不動産業を開業することを物件所有者に承諾してもらえるか否か」という点があります。
また、次の会社設立に備えて、このタイミングで印鑑の発注についても検討しておきましょう。
印鑑とは具体的には「会社実印・会社銀行印・角印」のことです。

④会社を設立する
不動産会社は個人でも開業できますので、会社を設立することが絶対条件ではありません。
ただし、将来的に会社を大きくしたり、長く事業を続けていくことを考えているのであれば、会社を設立することをお勧めします。
なお、会社の形態としては「株式会社」が一般的ですが、「合同会社」という選択もあります。
しかしながら、不動産会社の設立という面では、合同会社は設立費用が株式会社と比べて「数万円程度安い」というだけのメリットしかありません。
一方で、不動産業で開業した後の経営という面では、「株式会社」の方が圧倒的にメリットがありますので、初めから「株式会社」を設立することをお勧めします。
なお、会社設立の際には「定款」を作成しますが、定款の事業目的欄に不動産業を行う旨の記載を入れておかなければなりません。
具体的には「不動産の売買、賃貸、管理、交換及びこれらの仲介」というような文言を入れます。

⑤宅建免許申請をする
会社を設立したら、宅建免許申請を行います。
会社の設立と並行して宅建免許の申請書類を作成しておき、会社設立完了と同時に宅建免許申請をするくらいの段取りがベストです。
申請書に不備があれば、その分だけ免許を受けるのが先になりますので、書類の不備には十分に注意をしましょう。

⑥保証協会に加入する
宅建免許申請を行い、無事審査に通過すると、本店事務所あてに免許の通知が届きます。
これをもって、保証協会に加入します。
保証協会とは、具体的には「全国宅地建物取引業保証協会(ハトマーク)」か「不動産保証協会(ウサギマーク)」のことを指しますが、どちらかを選択します。

⑦宅建業の免許証を受け取る
保証協会に加入したら、お金(弁済業務保証金分担金)を納付したことを証明する書類を保証協会から受け取れますので、その書類を持って、免許権者の役所の窓口へ行きます。
これにより「宅建業の免許証」を受け取ることができ、不動産業をスタートさせることができます。

不動産業は開業することだけでも大変ですが、ここからがスタートです。
開業前から計画し続けていることを実行に移し、ご自身の目標に向かって突き進んでください。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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