リファラル採用の注意点について

リファラル採用とは、自分の会社の社員から友人や知人等を紹介してもらう採用方法のことです。

求人広告に応募してきた人を採用するのに対し、社員の照会ということで、ある程度信用できる人の採用が可能だというメリットがあります。

また、広告を使って人の募集を行うと、高額な費用がかかりますが、リファラル採用は社員から紹介を受けますので、大幅に費用を削減することができます。
そのため、紹介してくれた社員に数十万円単位の紹介料を支払っている会社もあります。

ところで、このリファラル採用ですが、気をつけなければならない点があります。

それは、紹介してくれた社員が、本当に信用ができる社員でなければ、紹介は受けるべきではないということです。

言うまでもないことですが、紹介をする側の社員と、紹介をされる側の、その社員の知人というのは、原則的には「同じタイプの人間」となります。

そのため、紹介者が、(まだまだ小さな小規模な不動産会社であったとしても)経営幹部に属するような人物であれば、その紹介はありがたく受けるべきだと思います。

ですが、入社後間もない、しかも大した成績もあげられていないような人物の紹介の場合は、その社員の知人を採用するのは少し慎重になった方が良いでしょう。

なぜなら、大した活躍もしていないような社員同士というのは、つるみやすいという注意点があるからです。

人間は、基本的には怠惰な生き物です。

そのため、人間は「自己を厳しく律する方向には、なかなか向かわない」のに対して、「自分に甘くする方向には、容易に流れます。」

また、「できない社員」というのは、「できない社員同士でつるみたがります。」

しかも、リファラルで入社した社員というのは、紹介者の社員とつるむのが原則的な流れなので、更に「つるむ」という傾向は強まります。

紹介をした社員と、紹介された社員同士で、お互いに厳しく仕事をする方に向かうのであれば、社長としては喜ばしいことですが、そのような都合の良いことはまず起こらないでしょう。

当然のように、自分に甘くなる方に向かいます。

考えてもみてください。

私が関与している不動産会社は「まだまだ小さいけど、これからどんどん会社を大きくしようと頑張っている、社長の会社」がほとんどです。

そのような会社に求人広告を見て入社してきた社員というのは、いったい何者なのでしょうか。

いわゆる普通のしっかりとしたサラリーマンであれば、そのような小規模の会社に応募などしてこないでしょう。

そのような会社に求人広告を見て応募してくる社員というのは、原則的には次のような人たちだと思った方が良いです。

①学歴もなく不動産業界のことなど何も知らないが、稼ぎたいという「意欲だけがある若い人」。
②不動産会社を渡り歩いている業界歴が長いだけの「なんちゃってプロ」。
③不動産業界は未経験だが、どんな会社でも良いので、再就職先を探しているリストラされた中高年の人。

若い不動産会社というのは、設立当初は②に該当する「なんちゃってプロ」の人を「うまく利用」しながら、①に該当する「意欲だけがある若い人」を育てていき、会社を成長軌道に乗せるのが王道のパターンです(人を育てられなければ、他社からある程度能力がある人を経営幹部として連れてくるというパターンもあります)。

ですが、社長としては、①の「意欲だけの人」からも、ある程度仕事ができるようになるまでは、その社員からの紹介を受けるべきではないでしょう。

なお、③の「リストラされた中高年の人」についても同様なのですが、この手のタイプの人がある程度仕事ができる人になるまで育った例自体をあまり知りません。

また、②の「なんちゃってプロ」の人については、ひとつの会社に留まって頑張るという意識が希薄なため、紹介を受けたとしても、似たような人になるでしょう。

ですから、もし仮に社長自身が「猫の手も借りたい」というようなタイミングなのでもない限り、②の人からの紹介は受けない方が良いです。

なお、②に属する人については、一人ひとりはたいした力も能力もないのですが、徒党を組むと途端に面倒くさくなったりしますので、さらに注意が必要です。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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