仕事では、はっきりと言い切れる人が強い

仕事中の会話ですが、こちらの質問に対して、当たり障りのない発言しかしてこない人って結構います。

例えば、次のような先輩社員と後輩社員との会話です。

先輩:「新しく営業課長になった〇〇さんって、どうなの?仕事はできるの?」
後輩:「まぁ、いい人だとは思いますよ。」
先輩:「ふーん、じゃあ仕事はイマイチなんだね。」
後輩:「いや、そういうわけではありません。頑張っておられると思います。」
先輩:「…?」
こんな感じです。

このような回答をする人は、何をするにしてもこのような回答になります。

つまり「はっきりと言い切るということがない」わけです。

言い切らない人って、当たり障りのない発言ばかりをしますが、当たり障りのない発言って、全然相手に伝わらないですよね。

会話をしていても、全く建設的な話にはならない。
時間の無駄になります。

確かに、はっきりと言い切るには勇気が必要です。

ときには誰かからの反発を受けるかもしれません。

また、間違えたことを強めに主張して、恥をかくこともあるかもしれません。

ですが、言い切られた発言には力が宿ります。

不動産営業の場合にも似たようなことがおきますよね。

目の前に物件を購入しようか否か悩んでいるお客様がいるとします。

物件は欲しいが、なかなか決断ができない。

このような場面は多いです。

このようなときに、営業マンがお客様を悩ませるだけ悩ませていたり、このときに発せられるお客様の質問に対して可もなく不可もない回答をしていては、お客様は決断(購入)ができません。

このようなときに営業マンの「言い切る言葉」によって、お客様は背中を押されて、決断(購入)をすることができるのです。

購入するか否かを悩んでいるときに発せられるお客様の質問は、「背中を押してほしい」という合図であることが多いです。
このタイミングでしっかりと背中を押して(言い切って)差し上げることが大事だということです。

また、この話は会社の社長や上司というような、組織において上の立場にいる人にも当てはまります。

例えば、社長が「年商100億円の会社できたらといいと思う」という発言をしたとしても、その発言には力がありません。
したがって、絶対に達成できませんし、部下も信用しないでしょう。

ですから、せめて発言だけは言い切らなければなりません。

「年商100億円の会社を10年以内に作る!みんなで頑張ろう!」みたいな感じです。

ちなみに、不動産業では、言い切ることが危険になる場合があります。

それは、例えば、次のような場合です。

・がけ(擁壁)の上に存する中古住宅の仲介をする場合に、擁壁の安全性について「絶対大丈夫!」みたいに力強く言い切ることはできません。

・がけ(擁壁)の下に存する中古住宅の仲介をする場合に、隣地の擁壁について「隣地のものだから影響はない!」みたいに力強く言い切ることはできません。

不動産業の場合、上記の例以外にも言い切ることができないことは多々ありますが、その場合、不動産会社(宅建業者)としては、役所や所有者等から、できる限りの情報を集めて、購入者にリスクを説明し、判断を仰ぐという方法しかとることはできません。

なお、この場合の「判断を仰ぐ」というのは、次のようなことを言います。

①リスクを理解したうえで、そのまま購入するかを買主に決断してもらう。
②リスクを説明したうえで、売主又は買主の費用負担で、さらに専門的な調査を依頼する。

①リスクを理解したうえで、そのまま購入するかを買主に決断してもらうについて

買主が「リスクがあることをしっかりと分かった上で購入する」というのであれば、全く問題はないわけです。
そのためには、不動産の調査技術をしっかりと身につけるように日頃から研鑽をする必要があります。
なお、どんなにしっかりと調査をしても、買主が想定した以上の損害が発生するようであれば、大きなトラブルに発展してしまうことがあります。

②リスクを説明したうえで、売主又は買主の費用負担で、さらに専門的な調査を依頼するについて

リスクを説明した結果、売主又は買主が「専門家による調査を行いたい」という場合は、専門家に調査を依頼することになります。
なお、売主が専門家による調査を希望する場合は、売主の費用負担になるのは当然の流れでしょう。
ですが、買主から専門家による調査を希望する場合には、費用を売主が負担するのか、買主が負担するのかについては、相談で決める必要があるでしょう。
この場合「売主が、自分が調査費用を支払ってでも、今回の取引で物件を売りたいのか」「買主が、自分が調査費用を支払ってでも、この物件を買いたいのか」という互いの主張のぶつかり合いになります。

会社では「言い切る力」のある人は、希少な人材だと思います。
ただし、普段から勉強もせずに「言い切るだけ」の人は、どこかで必ずボロが出ますので、言い切る力を増幅させるためにも、日ごろから研鑽は必要になります。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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