動産物がある場合の注意点について

売買対象物件に動産物がある場合、その動産物の処分をどうするのか(売主が行うのか。買主が行うのか)について取り決める必要があります。

なお、買主が宅建業者の場合で、物件取得後に建物を解体するようなパターンであれば、動産物は「買主の責任と負担により処分」するということもあるかと思います。
ですが、買主が非宅建業者の場合には、特定の動産物を残して「売主の責任と負担において処分」というパターンが一般的だと思います。

また、ときにときどき見られるパターンとして「売主は物件に居住しておらず、賃貸に出していた」というものがあります。
このパターンで「動産物の残置」がある場合、「その動産物の所有権は誰なのか」について確認をする必要があります。
動産物の所有権が「対象不動産に以前住んでいた人の物」である可能性があるからです。
その場合、動産物は「売主の所有物ではない」ということになりますので、いくら売主の了承を得たところで、勝手にその動産物を処分することができません。
この場合に「動産物を買主の責任・負担で処分」としてしまうと、後から、動産物の本物の所有者が現れて、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
ですので、この場合、動産物は「売主の責任・負担にて処分してもらう」か、最低でも売買の特約で「買主が処分した後に、動産物の所有者から異議・苦情等の申立てがあったときは、売主の責任と負担において対処する」旨の取り決めをしておいた方が良いでしょう。

また、決済までに売主の責任と負担において建物を解体する際には、建物解体時のガラ等と同じタイミングで動産物も撤去されるとは思いますが、やはり特約で「動産物等を全て撤去し、更地の状態で引渡す」旨の取り決めをしておいた方が良いです。

なお、何か残すものがある場合、残す動産物を特約で特別に定めておくべきです。

では、既に「更地」で対象物件土地上に、動産物は何もない場合はどうでしょうか。

実はこの場合も動産物は「引渡し時に本物件上に動産物がある場合、売主の責任・負担にて撤去する」旨の取り決めをしておくと良いです。
理由は、契約後引渡し時までに「第三者によって動産物の放置等があった場合」に問題となりかねないからです。

特に宅建業者が買主の場合、「引渡し時に対象物件にある動産物は買主(宅建業者)が処分する」ということを当たり前に行っているという会社もあるかもしれません。

まして、既に更地となっている土地の場合、「動産物は既に何もない」と油断することもあるでしょう。
そのようなときでも「万が一、動産物の放置がある場合は、売主の責任・負担にて撤去」と定めておけば安心です。

では実際に何らかの動産物が放置された場合に、売主に撤去させるのかといえば、必ずしもそのように対処する必要はないでしょう。
さまざまな業者ともつながりがある宅建業者の方がスムーズに動産物の処分もできるでしょうから、買主宅建業者において処分しても問題がないものについては、宅建業者が処分してあげれば良いと思います。

大事なことは「選択権を持っておく」ということです。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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