どんなに頑張っていてもトラブルというものはやってきます。
なお、トラブルには、お客様等にご迷惑をかけてしまうことで発生するトラブルもありますが、これについては、日ごろから自己研鑽をすることで、できるだけ発生しないように心掛けるとともに、それでも発生してしまった場合は、真摯に、速やかに対応する以外に方法はありません。
本日取り上げたいのは、社内で発生する類のトラブルです。
ちなみに、社内で発生するトラブルの中で最も混乱を招くものは「従業員が突然出社できなくなる」というものでしょう。
突然出社できなくなるというのは、メンタル面での問題を想像する人が多いと思います。
確かにメンタル面での不調というのもありますが、メンタル面での不調というのは、比較的若手に起こるものであり、その場合、社内の業務に大きな問題をもたらすほどの混乱は発生しません。
ということは、会社の業務に大きな混乱をもたらすほどの「重要なポジションを担っている従業員」ということになり、そのような社員が出社できなくなる状況というのは、一番可能性が高いのは「怪我や病気」になります。
以下は、私が実際に遭遇したことです。
ある日突然、社長の右腕ともいうべきポジションの従業員が出社できなくなりました。
しかもその原因が、「ケガ」であれば、電話で意思疎通ができる可能性が高いので、少しの期間だけ不便になるという程度で済みますが、脳卒中のような意識を失う病気でしたので、問題はより深刻でした。
最悪の場合は、数か月間のブランクを経たのちに、復帰できないという結論に至る可能性すらあります。
もし仮に、そのようなことになった場合でも、社長としては、常にあらゆるリスクを想定して会社を経営していかなければなりません。
では、どのような考えていけば、あらゆるリスクを想定した動きができるのでしょうか。
答えは簡単です。
社内で重要なポジションを担っている社員全員に、「その社員が今倒れたら、どのように対処をすれば良いか」という想像を働かせておきます。
もちろん「社長自身が倒れてしまった場合」の想像も働かせておく必要があるでしょう。
日ごろからこの想像をしておき、かつ、その対策を考えておくことで、いざこのようなのトラブルに見舞われたときの対処がスムーズになります。
「社員が脳卒中になるなど、そんなことは起こらない」「そんなことは考えたくもない」という社長もいると思います。
ですが、脳卒中は、40代以上では、決してならないともいえない病気です。
実際、私が過去に関与した会社(社員数30人弱)では、40代の男性会社員が3年間の間に2名も脳卒中を発症するということがおこりました。
なお、脳卒中を発症した2名のうち、はじめに発症した社員は、調査・契約部署の平社員で、次に発症したのが、その会社の幹部社員であり、調査・契約部署の責任者という状況でした。
前者の社員のときは、私も単に重説・売契の作成とチェックのお手伝いをさせていただいただけで済みましたが、後者の社員のときは、社内のシステムの見直しから全て協力させていただきましたので、関与した期間も長期にわたり本当に大変でした(社長も大変そうでした)。
このようなことが実際に起こるのです。
なお、対策の方法ですが、社長から従業員に「自分(その従業員)がいなくなっても会社の仕事が混乱せずに回るように、日ごろから準備をしておくこと」と命じる方法ではほぼ効果は出ません。
理由は簡単で、従業員の立場からすれば、自分の代わりになる人材を作ってしまうと、自分の立場が危うくなるという心理が働くからです。
多くの従業員からすると、自分がいなくなった後の会社などどうでもよく、単に今の自分の居場所を確保していたいのです。
ですから、これは従業員に任せることはできず、社長自らが実践をしていく必要があるでしょう。
そのうち会社が発展すれば、従業員の中にも「もしものために自分の代わりを作っておこう」と思い始める人が出てくるかもしれません。
このような人は、間違いなく「経営者目線で仕事ができる人」ですので、しっかりと育てていけば、社長の右腕の候補となれる人材となるでしょう。