社長は社員を叱責する前に社内のインフラを整えよう

社長とは、基本的には優秀な人です。

ですが当然のことながら、社長だから優秀だというわけではありません。

少し話が脱線します。
念のため付け加えておきますが、優秀とは「学校の勉強ができる」という意味ではありません。
学校の勉強ができるというのは、役所や大企業等に入る際に大いに役立ちますが、自分で事業を作って社長になるという意味では、あまり大きな意味を持ちません。

話をもとに戻します。
社長が優秀になるのは、おそらく社長の仕事の多くが「考えること」と「実践すること」に集約されるため、自然と優秀になっていくのだと思います。

一方で、多くのサラリーマンは「考えて仕事をする」ということができません。

だから、社長から見ると「指示待ち」で頼りない印象を受けることが多いのです。

また、社長には「仕事や自社に関する夢や目標をたくさん持っている人が多い」のですが、多くのサラリーマンには、仕事に関する「夢や目標」がありません。

だから、サラリーマン社員に「目標はあるの?」と質問しても、「この会社で課長になりたい…」みたいな小さな目標しか返ってこないのです。

でも、サラリーマンはこれで良いのです。
そのようなサラリーマン気質の人たちに支えられて、社長であるあなたの会社が回っているわけです。
むしろ社員が仕事に夢や目標を持っていないことに感謝をしなければなりません。

まずは、社長としては「サラリーマンとはこんなものだ」という認識を持たなくてはなりません。

ちなみに、仕事熱心な社長で、一生懸命社員を育てようと頑張る社長であればあるほど、仕事ができない社員を叱責する場面が出てきます

ですが、社長としては、社員を叱責する前に、まず「多くの社員は考えて仕事をすることができない」ということを前提に仕組みを作ることで、事業を組み立てていく必要があります。

そこからがスタートです。

そして、しっかりと仕組みを作ったうえで、社員にその仕組みを遂行するための教育を行う必要があります。

なお、この場合の仕組みとは「できるだけ、社員が頭を使わなくても仕事を完了させられるようにしておく」ことであり、例えば、次のようなことです。

①契約にあたり、あらかじめヒアリングシートを用意し、そのシートを埋めておけば、最低限問題がない状態で契約ができるようになる。
②物件調査にあたり、チェックリストを用意し、シートを埋めておけば、最低限の情報が網羅された調査ができる。
③重説・売契、合意書等の書類の作成の際のルールを決めておく。
④従業員に最低限やってほしい行動を一覧にし、定期的に確認をする場を設ける。
⑤従業員にどのように育ってほしいかを一覧にし、いつでも確認ができるようにしておく。

これらの書類をあらかじめ用意しておけば、社長が毎回注意しなければならない状況をかなり減らすことができます。

なお、毎回注意される従業員も大変なのですが、毎回注意をしなければならない社長の方が実は大変であり、仕組みを作っておくことは、社長自身が疲弊してしまうことを防ぐ効果もあります。
注意を受ける側の人間は気づきませんが、「怒る側の人にも大きなストレス」を抱えますので、社長としても注意が必要なのです。

ですから、社長が、できるだけ怒る必要が無いようにあらかじめ仕組み化しておき、それを従業員に徹底させれば良いのです。

一方で、サラリーマンといえども、しっかりと「頭を使って仕事ができる人」もいます。

ですが、そのような人の多くは「将来独立」したり、「より待遇の良い会社に転職する」という目標を持っていたりします。
そのため、社長としては、そのような優秀な社員は「いずれ辞めていくのだろう」という気持ちで接しておくと、いざ退職のときに、大きなショックを受けることがなくなります。

優秀な社員は、優秀な社員として在籍してくれている間は、大いに働いてもらうという考え方が良いでしょう。

ですが、そのような優秀な社員でも、社長や会社に魅力を感じて、会社に残ってくれる人が出るかもしれません。

又は、入社当初は、あまり頭を使って仕事をすることができなかったような社員でも、何年も仕事をしていくうちに、しっかりと実力をつけてくれるかもしれません。

そのような社員たちは、間違いなく会社の幹部候補になります。
ですから、その人たちには、できるだけ早く「期待している」ということを伝えて、より一層頑張って仕事をしていただけば良いと思います。

いずれにしても、まずは「仕組みを作ること」からスタートです。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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