経営者こそ日報をつけるべき

日報というと「営業担当者が毎日記入するもの」だという意識を持っている経営者の方も多いと思います。

ですが、私は経営者こそ日報をつけるべきだと考えています。

実際、私も日報をつけています。

ですが、経営者がつける日報と、営業担当者がつける日報では記載内容が全く異なります。

営業担当者がつける日報は「経営者や上司が営業担当者を管理するため」に営業担当者に書かせるものです。
ですが、経営者がつける日報は「自分の目標(夢)を明確化し、その目標に向かって日々着実に進むため」につけていくものです。

当然のことですが、経営者になると、仕事をさぼっていても、叱られることはないので、自分で自分をしっかりと管理できなければなりません。

そういう意味でも日報を使って自分を管理することが大事なのです。

なお、日報に「自分の目標(夢)」を記載するのにも理由があります。

それは、自分の目標は確認し続けないと忘れるからです。

思い出してもみてください。

多くの人が正月休みになると、今年の目標を考えると思います。
ですが、多くの人が2月に入るころには、正月にたてた目標など忘れているのではないでしょうか。

そして、10月くらいになると「あ~、もう今年も終わりだな~。今年も早かったな~」となるわけです。

そしてまた、正月休みになると「去年とほぼ変わらない目標を掲げる」ことになります(本人は覚えていないので、去年とほぼ同じ目標だとは気付かないかも)。

そのような理由もあり、経営者が記載する日報には、自分の目標(夢)を書く欄を設けます。
そして、その夢を確実に達成するための、さらに細分化された目標を書いていきます。

その細分化された目標を、必要に応じてさらに細分化し、自分のスケジュールに落とし込んでいきます。

日報は原則として営業日ごとに記載していきます。
ですから、これだけ継続して自分の目標を確認していくと、自分の目標を忘れることはありません。

ちなみに、私自身「目標は忘れなければ、半分はかなったようなもの」だと思っています。

多くの人の目標が未達に終わってしまうのは、目標を途中で忘れるからです。

ちなみに、目標がかなわない理由として、「忘れる」のほかに、「本当に自分が求めているものではない」という可能性もあります。

どういうことかといいますと、例えば「売上高100億。社員100名の会社を作りたい」という目標をたてたとします。

ですが、その目標が本当に自分が求めたものでないと「多くの人が途中で挫折することになる」か「運よく目標を達成したとしても、ぜんぜん達成感も感じられない」という状況になってしまいます。

これでは、せっかくの頑張りが無駄になってしまうということになりかねません。

どうしてこのようなことがおこるのかといいますと、人は普段から「いろいろな人の目標を見聞きしている」からでしょう。
つまり、自分が目標をたてる前に、他の誰かの「売上高100億円」という目標を聞かされていた場合、「売上高100億円」という数字のインパクトに引っ張られてしまい、自分の目標を作るときに「売上高100億円」と設定してしまうということです。

ですが、本当は「自分自身が不動産流通の専門家として、一人ひとりのお客様に直接対応すること」に幸せを感じるタイプである可能性だってあるのです。

そのような社長であった場合、「売上高100億円」を達成するために従業員をたくさん雇用して、教育をして、仕事を任せるというようなストレスには到底耐えられないでしょうし、仕事をしていても幸せを感じられないはずです。

ですが、自分のたてた(偽りの)目標に向かって一生懸命努力し、売上を拡大しながらも、心の中では「何となく未達感」を抱えながら、何年も経過してしまうということが起こります。

そうなっては、かえって不幸になってしまうかもしれません。

ですから、自分の目標は「自分で考えて作る」ということが重要なのです。

なお、前述の社長の場合、まわりの意見に惑わされることなく、自分の目標を作ったとしたら、次のようになるでしょう。

・目標(例)
「大好きな不動産業界のために一生をかけて自己のスキルを高め、お客様の利益を第一に考えた取引をする。」

・目標(例)を少しだけ掘り下げてみる
「従業員は少数(社員2名。アシスタント3名程度)で十分であり、従業員となる人は、それぞれ不動産流通のプロフェッショナルとして、しっかりとお客様目線にたって仕事をしたいという人を採用する。少数精鋭とするからには、それぞれの従業員にそれなりの額の給与を支払う。」
「お客様からいただく報酬は、業界の慣習どおり、宅建業法に定められた上限額で固定させることなく、取引難易度に応じて適正な価格をせっていするものとし、そのために事務所等の固定費はできるだけ抑える」
「できるだけ長く仕事をするためには、健康の維持に留意する。そのためには、お酒は辞める。通勤は電車を使う。自宅で週3日以上筋トレをする。」

・更に少しだけ掘り下げてみる
「自分と従業員の不動産流通実務のスキルアップのために、毎年〇〇をする」
「お客様のために〇〇をする」
「健康維持のために〇〇をする」

・更に掘り下げる。
「毎日〇〇をする」

みたいになっていきます。

この「毎日〇〇をする」の部分を日々に日報に記載していくことになります。

この社長の目標は、「売上高100億円、従業員100名」のような分かりやすいものではありませんが、自分が本当に達成したい目標だった場合、目標がかなっていくにつれて、幸福度も高めることができるはずです。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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