不動産会社の社長が自分の右腕を育てるときに考えること

数多くの社長と接してきて気づいたことがあります。

それは、成長している会社には社長の右腕となる人材がいるということです。

それも一人ではなく、複数いることもあます。

右腕となる人材が多ければ多いほどその会社は発展しているという印象です。

おおまかな私の感想ですが、社長の右腕となる人材がいない会社では、社員30人くらいが限界です。
これに対し、社長の右腕となる人材が一人でもいる会社は、社員100人くらいまで増やすことができるようです。

また、右腕が育っていない会社では、たとえ優秀な社員を採用できたとしても、その社員と、社長とのフィーリングが合わなかった場合、その社員は会社を辞めることになってしまいます。
フィーリングが合わないというのは、人間同士である以上、どうしても発生してしまうもので、有能・無能は関係がありません。
一方で、会社に社長の右腕が育っている場合、社長とはフィーリングが合わなくても、右腕とフィーリングが合うということも起こり得ます
その結果、会社に定着してくれ、何年か会社に在籍しているうちに社長ともフィーリングが合ってくるということもあります。

このように、会社を発展させることを願う社長にとっては、必須となる右腕の存在ですが、特に不動産業においては社長一人の力で育てることはとても難しいと感じています。

不動産業界の場合、社長は不動産業の開業前は、不動産会社に勤務しており、その会社で営業担当者として結果を出していたというパターンが圧倒的に多いです。
そのため、社長は右腕となる人材を選ぶときに「自分と同じような適性を持った営業が強い人材を育てる」ということを考えがちになります。

ですが、社長の右腕を育てるという観点では、その考えは誤りです。

そもそも社長自身が営業はできるわけですから、優秀な営業担当者を育てるのはもう少し後でもいいわけです。

それより先に、育てるべき社長の右腕像とは、不動産流通実務において、しっかりと契約管理等の法務面をカバーしてくれる人材となります。

いうなれば、社長は営業としてオフェンスの役割、右腕は契約管理としてディフェンスの役割を担っていけることが理想です。

右腕がディフェンスとして社長の背中を守ってくれる間に、社長は全力で売上につながる営業活動(オフェンス)に専念し、かつ、営業担当者を育てていけば良いのです。

多くの不動産会社では、社長はまず営業担当者を育てようとしますが、社長のように自責で営業に取り組めるマインドを持っている人間など、そもそも少ないのが現実です。
社長から見れば、社員の営業に対する姿勢に不満を持つことが多いでしょう。
結果として、指導に力が入って(入りすぎて)しまい、入社させては退社してしまうということを繰り返すことが多くなります。

また、社長自身も今までのキャリアで営業がメインだったため、契約の細かい部分には弱く、契約について分からないことが多いため、調べるのにも余計な時間を取られます。
そのため、どうしても忙しくなってしまい、新人営業担当の指導に時間を割くことが困難になります。
それにより、新人は放置され、やる気を失って退社していくという悪循環が起こります。

日本には、不動産会社が12万社いじょうあるそうですが、多くの会社でこのようなことを繰り返しているため、不動産業界は小さな会社が乱立していて、大きく育つ会社はなかなか現れないということになるのでしょう。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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