安易な低価格路線を取っている不動産会社や士業が取るべき方法

私は、不動産業と、士業(行政書士業)の両方で仕事をしていますが、インターネットを見ていると、とにかく「低価格」のみを売りにして仕事を取ろうとする業者が多いことに驚かされます。

これらの業者は「安くやりますから、ウチに仕事をください」という態度で仕事を獲得しようとしているのです。

もし、このような仕事の値下げ行為が、組織化やIT化等による効率化などといった企業努力によって生み出されたものなのであれば、それはすばらしいことだと思います。

ですが、インターネットを見ている限り、ほとんどの不動産会社や士業事務所はそうではなさそうです。

なお、不動産会社の場合、宅建業法により仲介手数料の上限が決められているため、値下げ以外のアピールは見当たりませんが、士業の場合ですと、本当にその仕事に精通したプロは、他の一般の士業と比較して、報酬額を高めに設定している方が多いです。

仕事の安売り行為が、単に仕事が獲得できないからという理由だけで行われているのであれば、その行為は即刻やめなければなりません。

最悪、値下げをするにしても、例えば新人の士業であれば「新人なので、業務に時間がかかる可能性があるため、初めのお客様10組のみ2割の値引きをさせていただきます」というように、期間や数量を限定して対応すべきでしょう。

値下げ行為をしている業者は、この値下げの状態を何の戦略も無しに続けると、次のような不具合がおきるのだということを、想像力を働かせて考える必要があります。

①値下げをして仕事を獲得する。
②利益が少ないので、たくさん仕事を受任しなければ食べていけなくなる。
③通常業務が忙し過ぎて、一人ひとりのお客様に十分なサービスが提供できなくなる。
④やがて仕事で大きなミスを犯し、お客様に迷惑をかける。又はしばらくして業界から姿を消す。

このような流れになることは明白ですので、仕事の安易な安売りをせず、「自分の強みを打ち出すことで、その強みでお客様に選んでいただく」ように自己研鑽をしていくべきです。

そもそも、値下げをして仕事を獲得すると、長期的に良好な関係を築けるお客様と知り合うことはできません。

また、お客様によって請求する金額を変更するという人もいるようですが、これも慎まなければなりません。
お客様によって請求する金額を変えるとは、すなわち、払ってくれそうな人には多く請求するという行為です。
これをやり始めると、毎回いくら払ってくれるのかを考える必要が生じますので「労力のムダ」です。

初めから「仕事ごとに料金を設定」しておくようにしましょう。
そうするとお客様からも料金が分かりやすくなります。

ちなみに、料金設定のポイントは「他の同一の業務の相場よりも、少し高めの金額」に設定するのが最も良い方法です。

料金を高めに設定すると「仕事が取れない」という人はたくさんいますが、この考え方は間違いで、「料金は少し高めだが、どうすればこの金額に見合うだけの価値をお客様に提供できるだろうか」と考えて、集客をするべきです。

相場よりも少し高い金額でも依頼をしていただいたお客様には、こちらも気合いの入り方が違います。

当然プロですので、料金が高いから、低いからという理由で仕事の質に変化がみられることはあってはなりませんが、料金が高ければ、その分だけサービスして差し上げるという「余裕」も生まれます。

結果としてお客様に喜ばれ、長期的に良好な関係を築ける可能性も高まります。

そもそもお客様の全てが、金額(低価格)だけで業者を選んでいるというわけではありません。

お客様が依頼する業者を金額で選ぶのは、業者側の仕事の価値を「金額以外で比較する術を持たないから」だということがとても多いのです。

その点について、金額以外の価値をしっかりと提示してあげられると、たとえ他の業者と比べて少し割高であったとしても、選んでいただけるようになります。

つまり、単に金額が安いということのみを売りにして集客をすること自体が、業者側の怠慢だということにもなるのです。

ですから、安売り業者は、今一度自分の強みをしっかりと考えて「値上げ」をし、値上げした分以上の価値をお客様にしっかりと提供していくことを心がけましょう。

ちなみに、自社で価値を提供できないと考える場合、私のような外部の専門家に依頼をして、その専門家からサービスを提供してもらうという方法も取れます。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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